大谷選手「二刀流」で全米が驚嘆 批判されても「生き筋」を貫いた人々

大谷選手「二刀流」で全米が驚嘆 批判されても「生き筋」を貫いた人々

写真:アフロ

 

《本記事のポイント》

  • 野球史に残る"異端投法" "異端打法"
  • "異端"の科学手法が多くの命を救った事例も
  • 酒造りの"禁じ手"が品質向上につながった

 

投手と打者を、同時に極める――。

 

この「二刀流」と言われる離れ業に挑戦し、批判の目を向けられていた米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が、その実力を全米に証明した。

 

1日には、投手としての初登板で白星を飾る。3日には、本拠地での初打席で、ホームランを放った。これは「野球の神様」と言われたベーブ・ルース以来の快挙だという。さらに、4日には2試合連続となるホームランを放ち、全米を沸かせている。

 

大谷選手は、日本ハム時代に「二刀流」として成功を収めた。そして昨年末にメジャー移籍する。しかし、オープン戦では不振が続き、米メディアからは「まだ高校生レベルの打者」などと酷評された。

 

そうした中での今回の活躍は、「(二刀流への批判を)ここ数日で黙らせた」「見せ付けた」と、大々的に報じられた。

 

大谷選手の「二刀流」については、日本プロ野球時代から賛否両論あった。投手と打者とでは、体のつくりかたも、調整の仕方も別なので、負担は大きい。

 

野村克也氏が「二兎を追う者は一兎をも得ず」と批判したり(現在は撤回)、ダルビッシュ有選手が「二刀流では絶対メジャーに行けないじゃないですか」と語るなど、大物からも風当たりは強かった。

 

それでも大谷選手は、自分の決めた「生き筋」を貫き続けている。

 

 

球史に残る"異端投法" "異端打法"

日本の野球史を振り返れば、"異端なフォーム"を批判されながらも、大きな成績を残した例は少なくない。

 

例えば野茂英雄・元選手も、「トルネード投法」という特殊な投げ方をしていることから、コーチ陣から「そんな投げ方では盗塁される」「コントロールが定まらない」と散々に批判された。しかし野茂選手はその投げ方を捨てず、メジャー移籍してからも自分流を貫いた。

 

イチロー選手の「振り子打法」も有名だ。この打法も評判が悪かった。当時のオリックスの監督が「そんな変な打ち方はやめろ」と言ったが、イチロー選手は「この打ち方は、僕がつくりあげてきたもんですから。これをやめろというんだったら、二軍に落としてください」と拒否し、自ら二軍に落とされた。

 

しかしその打法を貫いた結果、日本プロ野球においては、130試合制になってから史上唯一のシーズン200安打を達成した。メジャー移籍してからも、「ふらふらと打席に立っている」などと揶揄されたが、メジャー通算3000安打という結果を残した。

 

批判された"異端フォーム"を貫いた例としては、王貞治氏の「一本足打法(フラミンゴ打法)」も有名だ。

 

 

"異端"の科学手法が多くの命を救った

科学の世界においても、非難ごうごうだった方法が、日の目を見ることがある。

 

竜巻研究における世界的権威である、気象学者の故・藤田哲也博士は、竜巻の規模を表す「Fスケール」の考案者として、日本よりアメリカで有名だ。

 

しかし、博士の研究の仕方は、伝統的な学問の手法から見ると"異端"だった。

 

博士は、ずば抜けた「観察力」「洞察力」「発想力」によって斬新な仮説を発表するが、それを立証したり、理論化したりすることに、あまり時間を割こうとはしなかった。論文も、査読などを受けないまま発表していた。

 

いわば、「実証主義」ではなく、「洞察主義」「観察主義」とでもいうべき手法をとっていた。気象現象の実証には、観測などを含めれば10年単位でかかることもあり、博士はそれよりも「前に進んだ方がいい」と考えていたのだ。

 

その博士がある時、航空会社に「墜落事故の原因究明をして欲しい」という依頼を受ける。当時、18カ月に一度の割合で、飛行機が離着陸時に、突然、地面へとたたきつけられるという謎の墜落事故が起こっていた。

 

博士は精密な観察の結果、「ダウンバースト」という現象が原因であると、論文で発表した。それは、「わずか数秒の間に、『向かい風』『強烈な下降気流』『追い風』が次々と襲う」という現象だ。

 

この仮説も、博士は十分な理論家・実証を経ずに発表した。特にこの問題は人命を左右するために、学術的な検証を待つより早く、対策を打つ必要があった。

 

しかしこの結果、博士は10年もの間、激しいバッシングにさらされることになった。

 

その後時間を経て、「ダウンバースト」は気象学会の常識となった。航空業界での対策が進んだことで、これまでに多くの命を救っている。博士は、「気象学にノーベル賞があれば、真っ先に受賞した」とも言われている。

 

 

酒造りの"禁じ手"が品質向上につながる

酒造界において"異端"なやり方で成功したのが、純米大吟醸「獺祭」を製造する山口県の旭酒造だ。本誌5月号では、同社が倒産寸前の状態から、世界で認知される日本酒メーカーにまで成長した「V字回復」物語を紹介している(関連書籍参照)。

 

酒造業界には、「酒造りは冬にする」という常識があった。しかし旭酒造は、一年中酒を造り続ける「四季醸造」を行っている。

 

当初は業界関係者から「四季醸造をするなんて、獺祭はもう終わりましたね」と言われることもあったようだ。

 

しかし、1年中酒蔵が稼動することで、仕込みでの失敗があっても、その反省をすぐに活かすことができ、むしろ品質が安定したという。

 

 

人間いろいろ、「生き筋」もいろいろ

どの世界にも「常識的な方法」というものがある。そこには、「多くの人にとって、この方法を取った方が上手くいく」という先人の知恵が含まれている。普通の野球選手が、大谷選手の「二刀流」や、イチロー選手の「振り子打法」などの"異端"な技を真似しても、失敗する可能性の方が高いだろう。

 

しかしそうした「常識的な方法」は最大公約数的なものでしかないことも確かだ。

 

一方、実際に仕事をする人間の方は、才能、長所、苦手、使命感、こだわりポイントなどにおいて、実に様々だ。それぞれの個性に適した、異なる「生き筋」が存在するのは、自然なことだろう。探求し、確信したものがあるならば、批判に揺れず貫き通す。それが成功への道を開く。

(ザ・リバティWeb企画部)

 

【関連書籍】

ザ・リバティ 2018年5月号 【特集】人口が減っても客は増える

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2020

 

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タグ: 大谷翔平  二刀流  野球  異端  藤田哲也  獺祭  旭酒造  生き筋  

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