下村文科相は韓国の無償保育による悲劇をくり返すのか 大学無償化で
2015.01.25
韓国政府は、関係閣僚会議を開き、児童虐待を根絶するための総合対策を打ち出す方針を明らかにした(22日付聯合ニュース)。会議では、保育園内で監視カメラの設置を義務付けるなど、保育士の採用、養成、勤務環境、処遇などに関する対策が議論される。
韓国では保育所内で起きた児童虐待件数が、2010年には100件だったが、2014年には265件と急増。保育士による児童虐待が大きな社会問題となっている(1月16日付東亜日報Web版)。
児童虐待急増の原因の一つは無償保育
なぜ近年韓国では、児童虐待が増えているのか。
その大きな理由の一つに、韓国政府が進める無償保育がある。朴槿恵政権下の韓国では、2013年、5歳児以下の教育費を完全無償化するなど、保育に補助金を投入。すると保育所も無償対象者も増加したため賄いきれなくなり、保育料の上限を設定して児童あたりの単価を安く抑えた。結果、保育の質を保障することが難しくなったという。
大学無償化の問題点
こうした教育の無償化に力を入れているのは韓国だけではなく、日本もそうだ。
下村博文・文部科学大臣は幼児教育の無償化に加えて、高等教育である大学教育についても無償化すると言い始めている。しかしこれには問題点が多い。
まず、国民の税金の負担が増えてしまう。無償化すれば、その分の学費は税金で負担せざるをえないからだ。さらに、学問の自由の侵害にもつながる可能性が高い。補助金をちらつかせて、各大学の教育方針や授業内容にまで政府が口出しできるようになるためだ。政府による教育への介入が強まれば、競争の原理が働かず、大学教育の質の低下にもつながりかねない。
大学無償化によって暴力という意味での虐待は起きないだろうが、人生で最も貴重な学びの時期を、質の悪い授業で犠牲にしなければならないならば、ある意味で虐待よりも大きな"キズ"を負いかねない。今必要なのは、政府による教育現場への介入を強める可能性がある無償化ではなく、教育を受ける側の選択肢を増やすなど、教育の自由を確保し、自由競争の中で教育の質を向上させていくことだ。(冨)
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2010年2月号記事 日本の教育で国際社会を生き残れるか
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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