「霊言学」のすすめ - 500人超の霊言を研究する - Part1
2014.12.24
2015年2月号記事
「霊言学」のすすめ
500人超の霊言を研究する
どの世界宗教もあの世のメッセージで始まった
大川隆法・幸福の科学総裁の「霊言シリーズ」が次々と発刊され、その内容は、政治・経済の動きやメディアに大きな影響を与えている。一方で、2015年に開学を予定していた幸福の科学大学に対し、「霊言は学問として認められない」との理由で、文部科学省は不認可とした(注1)。しかし、霊言は、本当に学問として研究できないのか。研究できるとしたら、どのようなアプローチができ、どのようなことが分かるのか、検証した。
(編集部 大塚紘子、只木友祐、馬場光太郎、冨野勝寛)
contents
大川隆法総裁の「霊言」は、過去の偉人や英雄の霊、生きている有名人の守護霊などが大川総裁の口を借りてその言葉を語る現象だ。
タイムリーかつ大量に発刊される霊言に対して「ゴーストライターがいるのでは?」「総裁は頭がいいから演じられるんだろう」など否定的な意見もある。そこには、文科省が言うように、「霊言は科学的根拠が欠如しており、一般化、普遍化されているとはいえない」という“常識"があるのだろう。しかし、この“常識"にこそ根拠はない。
霊言は「よくある現象」
霊言現象は、古今東西にわたりたくさんの事例が知られている。
多くの宗教は霊言から始まった。典型的なのはイスラム教で、ムハンマドの口を通してアッラー(あるいは仲介者ガブリエル)が語った内容が、聖典『コーラン』になっている。
日本の新宗教も霊言で始まっているものが多い。天理教の中山みきには「天理王命」、大本教の出口なおには「艮の金神」が神がかり、彼女らの口を通じてその言葉を語った。
霊言は、宗教だけに特有の現象ではない。「眠れる預言者」と言われたアメリカのエドガー・ケイシーは、催眠状態に入って自分の人格ではない霊存在の言葉を伝えていた。
19世紀、欧米で起きた「近代スピリチュアリズム」では、さまざまな霊現象や超常現象が起きたが、霊言もあった。フランスの教育学者アラン・カルデックは多種多様な霊たちの声を記録して出版し、イングランドの牧師ステイトン・モーゼスは見識の高い特定の霊の教えを『霊訓』という書籍にまとめた。
1970年代からアメリカやイギリスで始まった「ニュー・エイジ運動」でも、霊言の内容が出版されている。「セス」という霊存在の声を伝えるジェーン・ロバーツ、「エササニ星のバシャール」からの声を受けるダリル・アンカなど、多くの有名チャネラーが登場した。
このように、歴史的に霊言は「よくある現象」なのだ。
霊言は学問として研究できる
これらの霊言に対しては、すでに学問的研究もなされている。大別すると、霊言で語られる「思想内容」を探究するタイプの研究と、「霊言現象」の仕組みの解明を目指す研究がある。
霊言型宗教の教義についての学問は、ある意味で霊言の「思想内容」の研究と言えるだろう。ニュー・エイジの霊言も「霊が送ってくるメッセージや思想がどんなものか」という観点から研究されることが多い。
これに対し、近代スピリチュアリズムでは、思想内容の研究の他、霊言という現象そのものの研究が盛んになされた。その結果、W・クルックスやA・ウォレスなど当時の一流科学者たちが霊言を真実だと認めている。
エドガー・ケイシーに関しては、この両方の観点から研究がなされている。
幸福の科学の霊言も、これらの研究の手法や成果を生かしながら研究することが可能だ。
思想内容の研究については、(1)「内容の有益性や先見性」(予言の成就、提言の実現)という観点から、その意見のクオリティの高さを検証できるだろう。また、(2)「複数回収録された霊人の個性の一致」「(守護霊の場合)本人と守護霊の意見の一致」という観点からも、内容の検証ができる。さらに、チャネラーや関係者の体験を調査することで、(3)「霊言現象のメカニズム」なども明らかにできるだろう。
このような視点で探究することで、霊言の科学的実証が進むと同時に、これまでバラバラに研究されてきたものを「霊言学」として集大成できるのではないか。今、その機が熟している。
(注1)その後、学校法人幸福の科学学園は、異議申し立てを行うなど、文科省の処分に対して抗議している。詳しくは75ページ参照。
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