自民安倍総裁が日銀法改正を検討

2012.12.25

自民党の安倍総裁は23日、テレビ番組で、日本銀行が2%のインフレ目標を設定しなければ、日銀法改正に踏み切る考えを表明した。また、日銀が雇用についても責任を持ってもらうことも述べた。

安倍総裁は、衆院選前からインフレ目標の導入など金融緩和を大胆に推し進めることを表明していた。政治主導で金融政策を実施していくにあたって事実上、障害となっている日銀法の改正についても意欲を示した格好だ。

現在の日銀法は97年に改正されたもので、日銀の独立性を強めた点に特徴がある。

独立性を強めたのは、元々は政府の意向によって物価の安定が崩されることがないようにしたものだった。もっと具体的に言えば、政府の圧力を受けて紙幣を大量に刷ってインフレを招かないようにするための配慮だ。つまり、政府の意向に対してノーを言えるようにしたわけだ。

しかし、政府が右を向こうとしているのに、日銀は左を向いているような、整合性を欠いた経済政策につながってしまう欠点があった。

独立性の解釈には二つある。

一つは、政府の政策とは関係なく、日銀の意志で金融政策の意思決定ができると考えるもの。もう一つは、政策は政府と協調しなければならず、日銀が独自に決められるのは、あくまでも政策の実現の手段に限られると考えるものだ。

一般的には、前者で解釈されることが多いため、日銀法を改正して、日銀の独立性を弱めてから、インフレ目標を導入すべきだという議論となっている。

今回の安倍総裁もまさにそうした議論を展開しており、まずはインフレ目標を導入すべきことを日銀にお願いしつつ、もし受け入れられない場合は、日銀法を改正して、受け入れざるを得ない状態にするというわけだ。

いずれにせよ、デフレを克服するために、何としてもインフレ目標を導入して金融緩和を進める決意を示したことになる。

なお、日銀法を改正した97年以降、日銀は金融を引き締める傾向にあり、翌年の98年から長期デフレが始まり、国内総生産(GDP)が減少に転じている。自殺者が3万人の大台に乗ったのも98年からだ。明らかに景気にはマイナスに働いている。

現在、安倍総裁の度重なる金融緩和発言で株価は上昇傾向にあり、市場は景気回復要因として受け止めている。

あとは言った通りに実行できるか否かが注目される。ぶれることなく、日銀法改正を含めて、断固金融緩和を推進すべきだろう。(村)

【関連記事】

2012年12月20日付本欄 「2%物価目標」と追加金融緩和 日銀が安倍氏に"降参″か

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5340

2012年12月10日付本欄 自民・安倍総裁の経済政策「アベノミクス」のネタ元は幸福実現党?

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5268


タグ:

「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内

YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画



記事ランキング

ランキング一覧はこちら