中国や北に歩み寄る韓国 じわり高まる植民地化の恐れ
2012.08.24
韓国政府は22日、竹島問題などについて野田首相が李明博大統領宛てに送った親書を返送すると決定した。親書の返送は外交儀礼上、極めて異例。
日韓関係は李明博大統領の竹島不法上陸など、韓国の相次ぐ挑発行為により急激に冷え込んだ。一方で、ここのところ韓国が、独裁国家の軍事的な脅威に目をつぶり、中国への依存を強めているのが懸念される。
中韓の貿易額は、1992年の国交正常化当時の63億ドルから、昨年は2千億ドル近くに膨らんだ。韓国経済は輸出依存と言われるが、その貿易額の1/5は中国に頼っている計算になる。中国の経済成長が1%減速すれば、韓国の成長率も0.4%影響を受けるというデータもある。
韓国は中国との自由貿易協定(FTA)の交渉を進めるなど、さらに対中傾斜を強めているが、今後の外交でも韓国が中国や北朝鮮へなびいていく可能性が高い。12月の大統領選挙の候補者の多くは、中国との経済関係強化と北朝鮮との関係回復を訴えている。
つまり、金大中大統領(在任1998-2003年)のもと北との関係回復を狙った「太陽政策」の路線が復活してくる恐れがあるのだ。太陽政策が経済援助によって北朝鮮の軍事開発を促進してしまったように、次期政権の政策が北朝鮮主導の半島統一の流れを生まないか大きな懸念材料である。
韓国が日米と中国・北朝鮮との間で微妙な距離感を取るのには、地政学的な要因もある。朝鮮半島は大国に挟まれる難しい地理的環境にあるからだ。
23日付の産経新聞では、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏が、韓国外交の危うさを次のように指摘している。「バランスを重視するあまり、『特定の座標軸』を持つことができない。これでは短期的、戦術的に成功しても、長期的国益を最大化する国家戦略は永久に確立できない」。
韓国は民主主義と独裁主義と、どちらの価値観を取るほうが国民の幸福につながるか熟考すべきである。そうしなければ、中国や北朝鮮に取り込まれ、韓国が植民地化される日は、意外と早く訪れるのかもしれない。
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