中央アジアの要衝・カザフスタンに忍び寄る「静かなる浸食」【チャイナリスクの死角】
2026.02.27
国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
中央アジア最大の経済規模を誇り、広大な国土と豊富な資源を有するカザフスタンは、今、中国が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」の最前線に立たされている。
かつてのシルクロードの要衝は、中国にとって欧州へ至る陸路の玄関口であり、エネルギー資源の供給源として極めて重要な戦略的価値を持つ。しかし、その経済協力の裏側では、国家の自立を脅かしかねない「チャイナリスク」と、経済的侵略とも呼べる事態が静かに、かつ確実に進行している。
エネルギー支配と債務の罠で「スリランカ型のシナリオ」を恐れる国民
カザフスタンにおける経済的侵略の最も顕著な形は、エネルギー資源とインフラへの徹底的な食い込みである。
中国は巨額の融資と投資を通じて、カザフスタンの石油・ガス生産の約4分の1を支配下に置くに至った。さらに、中国資本による製油所の建設やパイプラインの整備が進むことで、カザフスタンの基幹産業であるエネルギー部門は、中国の需要と技術に強く依存する構造に作り替えられている。これは単なるビジネスの拡大ではなく、供給網を握ることで相手国の経済的生殺与奪の権を握るという、戦略的な布石に他ならない。
また、いわゆる「債務の罠」への懸念も深刻である。
カザフスタンは近隣のキルギスやタジキスタンに比べれば、対中債務の対国内総生産(GDP)比は比較的抑制されているように見える。しかし、実態はより不透明だ。政府間の直接的な債務以外に、国有企業や複雑なジョイントベンチャーを通じた融資が膨らんでおり、その契約条件の多くは非公開とされている。
インフラ開発のために導入された中国からの資金が、将来的に返済困難となった際、港湾や戦略的拠点の運営権が中国側に譲渡されるという「スリランカ型」のシナリオは、カザフスタンの知識層や市民の間で現実的な恐怖として共有されている。
中国嫌悪で大規模デモも
このような経済的浸食は、国民レベルでの激しい反発、すなわち「シノフォビア(中国嫌悪)」を引き起こしている。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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