意味もなくハサミで髪をチョキチョキ……"才能のなさ"に発狂したルーカス ─ スター・ウォーズ創造の秘密(中編)
2025.07.16
画像:rootstocks - stock.adobe.com
ジョージ・ルーカスが、映画界における「世紀の天才」であったことに、誰も異論はないであろう。
スター・ウォーズが"エピソード4"から公開されたことは有名だ。理由は、ルーカスが構想していた物語が当初、あまりにも壮大だったことによる。一本の映画に収めることは、とうていできなかった。そのため、最も分かりやすく、かつ当時の映像技術で制作できるストーリーを切り取って、第一作目として公開した。
この一事からも、ルーカスの天才性に感嘆するファンは多い。
「最初からルーカスの頭の中には、あの奥行きのある宇宙の姿と、壮大な叙事詩がありありと見えていたのだ」。そう想像してきたのは、筆者だけではないだろう。
ルーカスは、モーツァルトが「天から降って来る音楽を書き留めているだけ」と語ったかのように脚本を書き、ミケランジェロが「大理石のなかに見えている彫像を、自由にしてやるだけ」と語ったが如く演出・撮影をした──そんなイメージさえ、抱いてしまう。
ある意味で、そうした面もあっただろう。ルーカスは「英雄が悪と戦う宇宙神話をつくらなければならない」という、突き上げるような「直感」に従い、スター・ウォーズ構想に着手した。この時、漠然とした全体像や匂い、砂漠や雲の中の都市といった舞台やシーンのようなものは、霧の向こうにかすむようにあったのではないか。
だが、その"天啓"だけが創造性の秘訣と考えると、ルーカスの天才性の半面しか見ていないことになる。というのも、ルーカスが実際にスター・ウォーズをつくった過程は、あまりに泥臭く、それどころか、泥沼的とも言えるものだった。
2025年8月号記事「宇宙時代の今こそ知りたい STAR WARSは実話だった!」では、人々を熱狂させた本作の背景にあった史実性を明かした。本欄では、そこでは紹介し切れなかった、「ルーカスはいかにしてインスピレーションを受けたのか」というテーマについて紹介する。本記事はその中編(前編は関連記事参照)。
作家的作業は高校時代から苦手だった
「その時間は人生における最悪の日々だった」
ルーカスは、スター・ウォーズの初期構想を練っていた時期を、こう振り返る。
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