参政党が「有機農業や農家の公務員化で自給率100%」を訴える ─ 有機農業への移行を急いで農業を壊滅させたスリランカを忘れたか

2025.07.11

《ニュース》

コメ価格の高騰で農政が注目を集まる中、各種世論調査で議席増が予想されている参政党は、「有機農業を推進し、農家の公務員化などで食料自給率100%」を掲げています。しかし、多くの人々から「現実的な政策ではない」との批判が巻き起こっています。

《詳細》

参政党は参院選の公約として、「事実上継続している減反政策を転換し、コメの増産や輸出を奨励して、生産性を向上させる」「化学肥料や農薬などを使わない有機農業に順次切り替える」「輸入農作物から国産品を守るため、適正な関税を課す」「第一次産業の担い手の公務員化を進める」ことなどを訴え、10兆円規模の予算を投じて(全額国債発行?)、2050年には食料自給率(カロリーベース)100%を目指すとしています。

自公政権は農業分野の「脱炭素」を進めるため、有機農業を推進してきました(50年までに有機農業の耕地面積を25%にする目標)。これに対して参政党は脱炭素としてではなく、「学校給食での有機食材の義務化などで、目標達成を15年前倒す」と主張しています。しかし、20年の有機農業の耕地面積は「たったの0.6%」に過ぎず、10年で0.2%しか増えていないため、すでに達成は不可能と見られています。

食料自給率(カロリーベース)が低くなった大きな要因は「食生活の多様化」にあり、消費者が安くて豊かな食を求めた結果です。極端な話として自給率を高めるには、市場原理を無視して、消費者の選択肢を狭め、豊かな食生活を諦めれば、すぐにでも実現することは可能です。

そのため、豊かな食生活を手頃な価格で維持しながら、自給率も上げていくには、「狭い国土で限られた資源である農地をいかに有効活用(生産性)するか」という経済合理性にかかっています。この農地の生産性を高める手段として、これまで農薬などが使用されてきただけに、有機農業への転換を急げば、気候や虫害などの影響を受けやすくなり、収穫量が急減して、今以上の物価高騰が起きる恐れがあります。

有機農業への完全移行に動いたスリランカは、21年に化学肥料や除草剤の使用などを全面的に禁止し、農業に壊滅的なダメージをもたらしたことが、政府破綻の元凶にもなりました。

《どう見るか》

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タグ: 有機農業  減反政策  除草剤  化学肥料  参政党  コメ不足  食料自給率 

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