マスク氏、78兆円以上の政府支出の削減を目指すと発表 「議会の手続きを経ていない『違法な規制』から個人や企業を解放すれば米経済を活性化できる」
2024.11.21
画像:Anna Moneymaker / Shutterstock.com
《ニュース》
トランプ次期米大統領が「政府効率化省(DOGE)」のトップに指名したイーロン・マスク氏とビベック・ラマスワミ氏が、年間5000億ドル(約78兆円)の削減を目指すことを明らかにしました。
《詳細》
20日付米ウォール・ストリート・ジャーナル電子版に、マスク氏とラマスワミ氏は共同寄稿。現在、法的な命令の多くが、議会が制定した法律ではなく、選挙で選ばれていない官僚が公布した「規則や規制」であり、毎年何万件も出されていることを問題視。これは「反民主主義的」であり、納税者は極めて大きなコストを負担していると指摘しています。
2人がトップとなるDOGEは、連邦政府の規模を縮小するため、「規制の撤廃」「政府組織の縮小」「コスト削減」という3つの主要改革を進めるとしています。その中でも特に、最高裁判決をもとにした、既存の法律に基づく大統領令を通じ、変革を進めることに重点を置くとしています。
2024年7月には、 連邦最高裁が「法律が曖昧な場合は規制当局が解釈できる」とした判例である「シェブロン法理」を覆し、連邦機関に法解釈や規則制定の権限をゆだねるべきではない、という判断を示しています(関連記事参照:「米最高裁が規制をめぐる政府の権限を縮小させる画期的な判決」)。最高裁は22年にも、連邦議会が権限を与えない限り、政府機関が経済や政策にかかわる重要な問題を扱う規則を義務化できない、という判断も示しています。
これらの判例に基づき、DOGEは規制当局が法律を解釈するなどして、議会が可決していない「違法な規制」をリスト化し、トランプ氏に提示する方向です。そしてトランプ氏が、大統領令によって規制の執行を一時停止させ、見直しや廃止の手続きを取る、という道筋で進めていく、というのです。
連邦規制が大幅に減れば、「大規模な人員削減を行うための正当な理由になる」とし、DOGEは法的に求められている機能を政府機関が果たすための必要最低限の職員数を特定し、民間への転職を促すとしています。さらに、連邦政府職員に週5日の出勤を義務付ければ、「我々が歓迎する自主退職者が大量に出るだろう」とし、「コロナ時代の在宅勤務という特権の費用をアメリカの納税者が支払うべきでない」と、在宅勤務の廃止を促すといいます。
DOGEは、議会の承認を得ていなかったり、議会の意図と違う形で使われている年間5000億ドル(約78兆円)以上の支出を減らすことを目指すとし、その中には、公共放送公社への年5億3500万ドル、国際機関への年15億ドルの無償供与、家族計画連盟など急進的な組織への年3億ドル近い支出などが含まれるとしました。
マスク氏は、10月のトランプ氏の集会で、年間歳出の3割に当たる「少なくとも2兆ドル(約313兆円)」を削減できると話していました。また、ラマスワミ氏も11月17日にFOXニュースに出演し、「複数の特定の機関が完全に廃止されるとみている」と述べています。
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