世界経済の鍵を握るイエメンのフーシ派 紅海での攻撃で東アジアとヨーロッパ間の輸送費は5倍に【HSU河田成治氏寄稿】(Part 1)
2024.03.17
《本記事のポイント》
- 中東で衝突は激化しつつある
- フーシ派が攻撃で喜望峰経由を強いられる商船
- フーシ派の開発するミサイルにイランが関与
河田 成治
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。
2023年9月29日、バイデン米政権の中枢で安全保障を担当するジェイク・サリバン大統領補佐官は講演で、「中東地域はこの20年間で最も平穏だ」と述べ、「その結果、バイデン政権は他の地域や他の問題に集中することができるようになった」と胸を張りました(*1)。
しかしそのわずか8日後、ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃が発生。バイデン政権の中東見積もりがいかに甘いものであったかを象徴する出来事でした。
(*1)The Atlantic(2023.10.7)
中東で衝突は激化しつつある
このイスラエル・ハマス戦争は5カ月以上続いていますが、レバノンのヒズボラや、イエメンのフーシ派との戦闘の激化など、状況は収束するどころか中東のより広い範囲で過激化しているように見受けられます。
今年3月12日には、ヒズボラは、ゴラン高原のイスラエル軍を標的に多連装ロケット砲を100発以上発射し、過去数カ月で最大級の攻撃となりました。
対するイスラエル軍の攻撃も、これまではほとんどがレバノン南部の国境地帯に限定されてきましたが、ここ数週間はさらに北部にまで及んで、国境から約100km北に位置するヒズボラの軍事施設を空爆するなど、作戦の幅を広げています。今後も衝突のエスカレーションが懸念されます。
フーシ派が攻撃で喜望峰経由を強いられる商船
イエメンでは現在、首都サヌアを支配下において同国を事実上支配するフーシ派が、紅海を航行する船舶へ攻撃を加えており、海上輸送に大打撃を与えています。
航行する船舶は戦争当事者ではありません。これらは無防備な民間商船に対する無差別攻撃であり、重大な国際法違反です。許されるべきものではないテロ行為が行われており、激しい憤りを感じます。
以下のグラフ(詳細なグラフは有料記事に掲載)は、紅海を通過する船舶数の推移ですが、昨年の12月を境に急減し、それまで1日あたり70隻前後であったところが、現在(2024年3月上旬)は30隻前後と昨年比で40%近くまで落ち込んだまま推移しています。
HSU未来創造学部では、仏法真理と神の正義を柱としつつ、今回の世界情勢などの生きた専門知識を授業で学び、「国際政治のあるべき姿」への視点を養っています。詳しくはこちらをご覧ください(未来創造学部ホームページ)。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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