「悪魔との戦い」を宗教間協調で遂行するという新機軸を打ち出した映画『エクソシスト 信じる者』【高間智生氏寄稿】
2023.12.10
全国公開中
《本記事のポイント》
- 霊的存在としての人間の普遍性と、すべての宗教に共通する「悪魔との戦い」という神の意志を描く
今年8月に亡くなったウィリアム・フリードキン監督が手がけた映画『エクソシスト』は、12歳の少女に取り憑いた悪魔と2人の神父の戦いを描いた作品。
日本では、公開年である1974年の年間映画配給収入で1位を記録したほか、第46回米アカデミー賞では作品賞を含む10部門にノミネートされ、そのうち2部門(脚色賞&音響賞)を受賞するなど、映画史に残る傑作ホラーとして語り継がれている。
その50年後を描いた今回の続編では、2人の少女アンジェラとキャサリンに悪魔が憑依してしまう。彼らと対峙するのは、オリジナル版で想像を絶する恐怖を味わったクリス・マクニール(エレン・バースティン)だ。
「前に会ったわね」と、クリスが悪魔との望まない再会を果たし、命を懸けた壮絶な悪魔祓いが始まる。そして「信仰を失わせること」を狙いとする悪魔は、「1人が生き残り、1人が死ぬ…」と人間との最悪な駆け引きを開始する。
すべての宗教に共通する「悪魔との戦い」という神の意志を描く
「悪魔との戦い」は詰まるところ、自分自身の心に巣食う"神への不信"との戦いである──。
今回の後継作品『エクソシスト 信じる者』でも、エクソシストものの映画のこの基本コンセプトがしっかりと踏まえられ、内面の葛藤を描いた巧みな心理映画に仕上がっている。
ラストシーンに広がる平穏さを取り戻した日常風景を観ていると心の中に爽快感さえ覚え、カタルシス(重苦しい嫌な気分が浄化されること)効果も抜群だ。
また、もう一つの注目点は、50年前の前作と比べ、プロテスタントとアフリカ系の伝統的な宗教とも協力して悪魔払いに取り組むという新機軸が打ち出され、宗教間の協調がテーマの一つになっていることだ。
また魔の側から見た、霊的存在としての人間の普遍性を織り込んでいる。
「人間は生まれてくるときに必ず一人一人が希望を持って、この世に出てくるのであり、その希望を断念させるのが悪魔の狙いである」
すべての宗教に共通する「悪魔との戦い」という、神の意志を描いた重要な作品だ。
『エクソシスト 信じる者』
- 【公開日】
- 2023年12月1日
- 【スタッフ】
- 監督 デヴィッド・ゴードン・グリーン
- 【配給等】
- 配給:株式会社:東宝東和
- 【その他】
- 原題:The Exorcist: Believer | 2023年 | アメリカ |111分
【関連書籍】
『小説 十字架の女(2)<復活編>』
大川隆法著 幸福の科学出版
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