ファーウェイ事件を描いたスティーブ・バノンの映画『赤い龍の爪』が公開
2020.05.02
トランプ政権の元首席戦略官スティーブ・バノン氏がエグゼクティブ・プロデューサーを務めた映画『赤い龍の爪』(日本語字幕版)がこのほど、YouTubeでリリースされた。
2019年秋に、オリジナルの英語版が、NTDフィルムズ・カナダの製作により公開されていた。4月からは、NTDTV(新唐人テレビ)JPのYouTubeチャンネルから、 日本語字幕版 も公開されている。
映画は、米・中・カナダの国際外交問題に発展したファーウェイ事件を題材としている。タイトルの英語での原題は、「Claws of the Red Dragon」。"the Red Dragon"(赤い龍)が中国共産党を、"Claws"(かぎ爪)が、その世界覇権の武器としてのファーウェイ(華為技術)を表す隠喩となっている。
この映画のストーリーの大部分は、中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)をめぐって、カナダで起きた実際の出来事を反映した内容となっている。ファーウェイ事件は、2018年12月1日、カナダ・バンクーバー空港での乗り継ぎの際に、ファーウェイCFOの孟晩舟氏が逮捕されたことから始まった。
カナダ当局による身柄拘束の理由となったのは、関連会社によるイラン経済制裁違反による米当局からの要請だった。孟晩舟氏の父親は、ファーウェイ創業者でCEOの任正非氏であり、人民解放軍出身であることが知られている。
12月5日にカナダ・メディアで孟氏の拘束が明らかになると、中国政府はカナダに対して即時釈放を求めて抗議を行い、12月10日には、中国国内で、中国国家安全省がカナダ人の元外交官ら2名を拘束する事態となった。
この映画のエグゼクティブ・プロデューサーを務めたスティーブ・バノン氏は、2016年米大統領選では、トランプ陣営の選対本部長を務め、当選後のホワイトハウスでは首席戦略官となり、大統領最側近を務めた人物だ。
この映画の公開にあたってのバノン氏のインタビューを、多言語メディア「大紀元」は次のように報じている。
「バノン氏は、中国軍と協力するファーウェイ(華為技術)が、次世代通信5Gを世界に構築しようとすることは、『米国が直面する最大の安全保障上の脅威』と表現した。この脅威の強さは『核兵器以上』とした。将来の社会のあり方は、通信技術に依存しているからだという」
「バノン氏は、中国共産党は中国に住み着く寄生したならず者集団であり、マフィアだと表現した。さらに、『中国共産党は、かつての西側エリートによって作られたゾンビだ』『中国の人々は、世界でも大変勤勉でまともな人々だ。中国共産党の過激な全体主義と監視状態により抑圧され、奴隷と化している』と述べた」
トランプ政権の中枢にあって対中強硬路線の参謀を務めたバノン氏が、この映画の製作に参加したことの意味は大きい。この映画で描かれた、5G覇権をめぐる米中ハイテク戦争の実態は決して対岸の火事ではなく、日本人にとっての警鐘ともなるだろう。
(幸福の科学国際政治局長 藤井幹久)
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