トランプ大統領が達成した2019年の成果トップ10とは:経済・外交・軍事面で次々に成果を挙げたトランプ政権
2020.01.04
《本記事のポイント》
- 約6割のアメリカ人が「暮らし向きがよくなった」と回答
- 香港の支援・中距離核戦力の開発・イスラム国のトップ殺害で成果
- 裁判官の任命や人工妊娠中絶問題で保守回帰を実現
トランプ大統領が就任して3年が経った。保守派のアメリカ人識者はトランプ氏が達成した成果として何を評価するだろうか。
米保守系シンクタンク・アメリカン・エンタープライズ・インスティトゥート(AEI)のマーク・ティーセン氏がトランプ政権の成果トップ10を挙げ、ワシントンポスト紙で総評した。トップ10入りしたのは、トランプ氏の以下の業績だ(The 10 Best Things Trump Did in 2019)。
約6割のアメリカ人は、トランプ政権下で「暮らし向きがよくなった」
10. 失業率は史上最低の水準
失業者の数より求人数が初めて上回った。賃金が上昇し、低賃金の労働者の賃金上昇率は史上もっとも早い。57パーセントのアメリカ人が、「トランプ大統領が就任してから経済的に暮らし向きがよくなった」と答えている。
9.フード・スタンプの受給に就労条件を要求
公的な支援を受けるために就労を条件とするのは、人々が物質的な面だけでなく、尊厳とプライドが得られるように助けることでもある。働くことでコミュニティに貢献している感覚が得られるし、何よりも仕事は恵みであって罰ではないからだ。
外交・軍事面での成果
8.NATO加盟国が防衛負担を増額した
NATO加盟の同盟国は2016年から1300億ドル(1兆4千億円)、防衛費を増額した。GDPの2%を超える防衛費を負担する国の数は、トランプ氏の就任前と比較すれば2倍に増えたことになる。
7. 香港の人々の側に立った
トランプ氏は中国に対して香港の民主運動家たちに暴力を使って制圧しないように訴え、香港人権・民主主義法案に署名した。
6.中距離核戦力全廃(INF)条約から離脱し、中国と北朝鮮に対し挫折感を与えた
以前は禁止されていた中距離核戦力の実験を開始した。中国の核戦力に対抗するためであるし、また北朝鮮の有事の際に、空母打撃群を派遣しなくても、緊急措置として代替手段となるためだ。
5.最大限のプレッシャーをかけてイランを事実上活動停止に追い込んでいる
イランはインフレが続いて経済が縮小し、ヒズボラやハマスなどの武装組織やイラン軍や革命防衛隊への資金提供を削減せざるを得なくなっている。イランでは1979年以来最大のデモが起きている。
4.メキシコに関税をかけた結果、メキシコが不法移民を取り締まるようになった
メキシコ政府は移民法を施行し、数千人もの国家警備隊を送り、移民の大移動を食い止めるようになった。下院は米・カナダ・メキシコの自由貿易協定を承認する予定だ。これは関税で脅威を与えなければ実現できなかっただろう。
人工妊娠中絶反対派の勝利
3.家族計画連盟に30年で最大の打撃を与えた
アメリカには人工妊娠中絶を連邦政府が資金的に支援する家族計画連盟(Planned Parenthood)がある。だがトランプ政権は「命を守る法律(Protect Life Rule)」を定め、連邦政府の税金がTitle Xと呼ばれる人工妊娠中絶プログラムに使われないようにした。この結果、家族計画連盟はTitle Xプログラムから撤退を余儀なくされた。これは人工妊娠中絶反対派(プロライフ)の勝利で、キリスト教保守の人たちがトランプをサポートしつづける理由だ。
2. イスラム国のバクダディ氏を殺害
テロリストが支配する地域でリスクの高い作戦を遂行し、イスラム国のトップのバグダディ氏を殺害した。失敗すれば責めを負うのはトランプ氏であるため、バイデン氏は副大統領時代、オバマ氏に急襲はすべきではないと助言していた。トランプ氏は、バイデン氏とは違って躊躇することはなかった。
保守系裁判官の任命で保守回帰
1.かつてないスピードで保守系の裁判官を任命しつづけている
12月に上院はトランプ氏が任命した50人目の控訴裁判所の裁判官を承認した。この控訴裁判所だけで年間6万もの裁判が開かれている。13の巡回区のうち、7つの巡回区の裁判所で保守系の裁判官が過半数を超え、3つの巡回区がリベラルから保守へと転じた。
内政・外交の両面で成果
ランク入りした成果をつぶさに見ていくと、イスラム国、イラン問題、中距離核戦力、香港問題とともに、国内経済や治安の向上に尽力してきたという内政における成果が目立つ。トランプ氏は、内政面でも外交・軍事面でも、アメリカ国民のみならず、世界のためにバランスよく成果を挙げてきていると言える。
とりわけ1位の裁判官の任命と3位の人工妊娠中絶の問題は、アメリカの保守層がトランプを支援してやまない理由を示す問題だ。法律に精通するのみならず、高潔な人格を持った判事は、健全な民主主義を維持するために欠かせない。本来の精神や能力にもとる判事が裁判官を務めれば、長期的な国の精神を変えてしまう。
また3位の人工妊娠中絶が税金によって行われていた問題は、保守層から見るとゆゆしき事態。幸福の科学でも、妊娠後、満9週目に入ったとき魂が宿るという霊的真実が明らかになっている。このため中絶は殺人にあたり、そもそも聖書における神との契約に反する行為であるとして、宗教心のあるアメリカ人にとって切実な問題となっている。
日本では宗教的な理解が欠けており、メディアでは報道されることはあまりないが、アメリカでは人工妊娠中絶に反対する宗教的な国民が人口の4割を占めている。弊誌はこれまでトランプ大統領が信仰心に基づいて国を立て直そうとしていることを論じてきたが、アメリカの向かう方途には宗教立国化があることも見逃してはならない。
アメリカのトップ10に匹敵する成果は日本にある?
トップ10の成果を見ると、アメリカ国民と世界のために、手を打ち続けるトランプ氏の姿が見えてくる。
一方、日本はどうだろう。安全保障上、重要な企業に対する出資規制を強化する改正外為法を成立させ(11月)、アフリカ開発会議(TICAD)を開催し(8月)、アフリカ諸国が中国の債務の罠にはまらないように資金面で中国の一帯一路の対抗措置を採った。また先端技術の人材育成にも力を入れ始めた。トランプ政権と足並みを揃えたこうした動きは評価できる。
だが外交問題については、日露平和条約の締結の先延ばしもあり中露が接近。イランとアメリカとの仲介役を買って出たものの、目立った成果は上げられず、米・イラン間の対立は深まっている。
アメリカがNATO諸国に防衛費の負担増を求め、それが実現したことについても、前出のランキングでトップ10入りの成果に掲げている。これを見れば、習氏の国賓待遇の準備を進める日本に対して、アメリカがもう一段強気に出てくる可能性も考えられる。
内政では、消費税率を10月に10%に上げ、景気の低迷を招いた。いま世論調査を行えば、安倍政権のもとでアメリカのように「暮らし向きがよくなった」と回答する国民は半数にも満たないだろう。国防強化のための憲法改正も、19年7月の参院選の主要な争点とはならなかった。
日本は今年、どんな成果を挙げる一年になるのか。首相の在任期間だけが成果ではない。一年の終わりに振り返って、達成した成果を誇らしく掲げられるような日本に生まれ変わらなくてはならない。
(長華子)
【関連書籍】
大川隆法著 幸福の科学出版
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