イラン各地で異例の体制批判デモ 「自由」を求める国民にどう応えるか
2019.11.25
《本記事のポイント》
- イラン各地で続くデモに対し、政府はインターネット遮断などで鎮圧を図っている
- 人権を軽視しがちなイスラム教国にはイノベーションが必要
- 一方で、西欧諸国もイスラム教を「邪教」とする考えを改めるべき
イラン各地で反政府デモが続いている。
これまでに約1000人のデモ参加者が拘束されたと報じられ、英・ロンドンに本拠を置く人権団体アムネスティは19日、少なくともすでに106人の死者が出ていると発表した。スナイパーが建物の屋根やヘリコプターからデモ隊を狙撃するなどしており、実際の死者はそれ以上に上ると推定されている。
デモの発端はイラン政府によるガソリン価格の大幅な値上げだ。アメリカの経済制裁により厳しい経済状況が続く中、生活に直結するガソリンの値上げに、イラン国民の不満が爆発し、異例の体制批判デモにつながった。
対するイラン政府は、国民のインターネット接続をほぼ遮断させることでデモの収束を図っている。これにより、イラン国内からグーグルやヤフーなど国外のサイトにアクセスできないほか、インスタグラムなど主要なソーシャルメディアも使えない状況になった。首都テヘランなどではインターネット接続が回復しつつあるようだが、まだ多くの国民が情報遮断の中にある。
こうした動きを受け、米政府は22日、イランのアザリジャフロミ通信情報技術相を制裁対象に指定すると発表。イラン政府の強硬姿勢を真っ向から批判した。
イスラム教に必要なイノベーション
イランに限らず、イスラム教国家にはイノベーションが必要だ。
人権団体「国境なき人権」によると、イランやソマリア、スーダンなどのイスラム教国では、土の中に身体を埋めて動けなくした上で石を投げ続ける「石打ちの刑」が今なお行われている。アメリカが協力関係を強めるサウジアラビアも、政府に批判的な声をあげるジャーナリストを殺害するなど、強権的な体制を敷いている。
厳格なシャリア(イスラム法)を守ろうとするあまり、国家のためであれば人権を蹂躙してもよいとする全体主義的な考えに染まってしまうのは危険だ。「人間は、国家に奉仕させる『手段』ではなく、一人ひとりが幸福になることが国家の『目的』だ」とする民主主義的な考え方が求められている。
今回のイランでのデモは、時代に合わなくなった制度への反動として起きたと考えるべきだろう。
イスラエルやアメリカ外交の間違い
ただ、イスラム教自体は悪魔の教えではない。
イスラム教は、ユダヤ教やキリスト教と同じく「唯一なる神」を信仰する宗教であり、イランを目の敵にするイスラエルやアメリカの外交方針には間違いがある。中東の混乱を解決するには、イスラム教国が自由や民主主義の精神を学ぶとともに、アメリカをはじめとする西欧諸国もイスラム教を「邪教」とする考え方を改める必要がある。
イランに対しても、あくまで戦争には踏み切らず、自発的な近代化を求めつつ国家間の相互理解を深める道が望ましいと言える。
(片岡眞有子)
【関連書籍】
『イランの反論 ロウハニ大統領・ハメネイ師 守護霊、ホメイニ師の霊言』
大川隆法著 幸福の科学出版
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