安倍政権が成果とする「観光立国」 訪日観光客の半分は中国・韓国人だが……
2019.06.29
《本記事のポイント》
- 与党は訪日観光客が3000万人を突破したことを成果として誇る
- しかし、訪日観光客の内訳を見ると、その半分は中国・韓国人
- 政治的なリスクが高い国からの流入ではなく、リスク分散を
与党は夏の参院選に向けて、訪日観光客が3000万人を突破したことを受け、「観光業の活性化で地方創生が進んでいる」ことをアピールする狙いがある。
安倍晋三首相はこのほど、都道府県議会議長との懇談会で「外国人観光客は3000万人の大台を突破して、インバウンド観光という、新たな一大産業が生まれました」と強調した。
確かに訪日観光客は、安倍首相が政権運営を本格化させた2013年以降、増加の一途をたどっている。しかし、その中身を見ると、非常に問題のある増え方をしていた。
主な訪日観光客の増加は中国だった
上のグラフが示すように、注目すべきは、中国人観光客が急増していることだ。数年前は韓国人が最も多かったが、今では中国人が最多となっている。
だが、安倍政権は安全保障面で中国に対抗する姿勢をとっている。韓国についても、徴用工問題の蒸し返しなどで、距離をとっている。中韓両国への依存度を高めることはリスクになりつつある。
実際に、台湾では、中国に依存するリスクが顕在化した。
2016年に民進党が政権を奪還し、中国に強硬的な蔡英文政権が発足した。すると中国政府は、台湾を訪問する団体旅行客の渡航を制限。16年の中国人観光客数は約350万人だったものの、政権発足後の17年に約270万人へ減少するなど、台湾の観光産業は打撃を受けた。
中国政府は、自国民の観光をコントロールすることで、相手国より優位に立つことを戦略にしているのだ。この点について、大川隆法・幸福実現党創立者 兼 総裁はこう述べている。
「 中国は、台湾から国交のある国を取り上げるために、そういう国に観光客をドッと送り込んで、そして、『中国人の観光客がいっぱい来た』ということで中国人用の施設をたくさんつくらせ、三年後ぐらいにサッと引き揚げて、それらを潰し始め、『これは大変なことになった』というようなことをやらせたりして、揺さぶっています。中国は、観光客まで公務員代わりに扱えているわけです 」
「 『それを、どこかに送ったり、減らしたりする』ということを、国の管理でやれているらしいから。観光産業などはそんなに安定したものではないので、このあたりは、もう少し賢くないと危ないですね 」(『 君たちの民主主義は間違っていないか。 』所収)
訪日外国人の半分は、中国・韓国人
記憶に新しいのは、2012年、尖閣諸島の国有化に端を発した反日運動だ。運動が起きた後、中国から日本への観光ツアーが相次いでキャンセルされた。
当時は中国人観光客の依存度は低かったが、今では全体の3割を占めている。もし今後、再び中国で反日運動が起きれば、以前とは比べものにならない経済損失を被るだろう。
そのため、安倍政権は中国を過度に刺激するような政策をとっていない。また、韓国軍から自衛隊機がレーダー照射を受けても、日本政府はその対抗措置として、韓国人へのビザ発給の制限に踏み切らなかった。韓国についても、日本の観光産業への打撃を懸念した可能性がある。
安倍政権が観光産業を活性化させたことは事実だろう。しかし、政治的リスクが高い中国と韓国からの流入により、2カ国だけで、訪日観光客総数の50%を超えている(上グラフ)。
日本の外交方針が、中韓両国の思惑や政策に左右されやすくなり、独自の外交をとりづらくなっているのであれば、安倍政権の"手柄"に対して、もろ手を挙げて評価することはできまい。
日本の観光産業は、中韓への依存度を下げるリスク分散を図ることを検討すべきではないか。
(山本慧)
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