【政策比較】参院選のミカタ 政党の「思想」を比べたら未来が見える
2019.05.29
写真:ZUMA Press/アフロ、Rodrigo Reyes Marin/アフロ
2019年7月号記事
Political Theory
POLICY COMPARSION
参院選のミカタ
政党の「思想」を比べたら未来が見える
今夏に行われる参院選に向け、各党の政治哲学に注目して、政策を比較する。
(編集部 小川佳世子)
「令和」初の国政選挙となる参院選が近づいている。
私たちに与えられた貴重な一票をどの候補者や政党に投じるかで、日本の未来は左右される。
政策の根底にある哲学に着目
選挙前には、各党がさまざまな政策を掲げ、支持を訴える。だが、「子育て支援を充実させます」「安心して暮らせる社会にします」など、似たような政策が並んでいることが多い。
そこで、政策と共に各党の思想や政治哲学にも着目したい。
消費税を例にとれば、10%への増税に明確に反対している政党には、共産党と幸福実現党がある。だが、両党は税制について正反対の哲学を持つ。
共産党は、「消費税は貧しい人たちに厳しい税金なので反対だが、その分、大企業やお金持ちから税金をたくさん取って、貧しい人たちに分配すべき」と考える。
幸福実現党は「減税で国民や企業が自由に使えるお金を増やすことは一人ひとりの幸福につながり、景気を良くして国家も繁栄する。だからこそ、消費税はもちろん、法人税や所得税も減税すべき」と考える。
上図は、主要政党の経済政策と外交・安全保障政策に関する考え方の違いを示したもの。たった2つのベクトルだけでも違いは明らかだ。「保守」とされる自民党と「左派」と呼ばれる立憲民主党を比べると、経済政策のスタンスにはほとんど差がない。一方、幸福実現党の哲学は明確で、他党との違いが際立っている。
信念は一貫しているか
主張が一貫しているかどうかにも注目したい。例えば自民党は、憲法改正を党の綱領に掲げ、2012年には、9条を改正し、国防軍を保持することを含む、憲法改正草案も発表した。しかし最近では、9条2項を維持し、自衛隊の存在を憲法に書き込む「加憲」の主張に変わった。
同党は国防の大切さは理解しているが、世間の批判を気にして主張を曲げることがある。政治的信念より目先の人気を優先する姿勢は残念だ。
国民を幸福にする哲学か
最も大切なことは、「国民を幸福にするか」という視点だろう。
「平和」を訴える政党は多い。だが、侵略の意図を持って軍拡を続ける独裁国家に対し、事を荒立てないように何の備えもしないことを平和と呼ぶならば、それは幸福にはつながらない。
歴史にも学ぶ必要がある。信仰心をもち、自由を愛する人々によって建国されたアメリカは、世界中が憧れる国となったが、嫉妬に基づく極端な平等主義と無神論を国の柱としたソ連や中国は、自由のない国となった。
こうした点を踏まえ、本当の意味で国民を豊かに、幸福にする政党はどこかを考えてみたい。
既成政党では安全と財産が守れない?
【政策比較図】各党の「思想」と「政策」
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