企業に介入を強める中国共産党 真なる発展に必要なものとは?
2017.08.18
中国・上海。
《本記事のポイント》
- 中国共産党は、中国企業への介入を進めている
- 政府の意向に左右される中国企業は信用されない
- 党の介入がある限り、中国に真なる経済発展はない
「規制当局は常軌を逸している。何が捜査対象なのかについても曖昧な発表しかしないし、そもそも我々4社はそれぞれ全く異なる企業だ」
米フィナンシャル・タイムズ紙(9日付)のインタビューにそう語ったのは、中国当局から取り締まりを受けている、中国保険大手4社のうち1社の幹部だ。
これらの4社が取り締まりを受けることになったきっかけは、このうち1社のトップが事業家の資産を海外に移す手助けをしたため。中国では海外への資金流出が進んでおり、当局はそれを止めようと躍起になっている。
これら企業の幹部は、中国当局をあからさまには批判しないが、取り締まりを受けて自社株が暴落したことに対し、内心激怒しているという。
中国当局が経営にまで口を出す
このように、中国の民営企業に、中国共産党の介入が進んでいる。
日本経済新聞社の調査によると、4月以降、約1300ある上場企業のうち少なくとも288社が、経営の基本規則である定款を変更し、「共産党の経営介入」を容認していた(17日付)。
記事によれば、定款は「社内に党組織を設立する」「重大な経営の決定事項の際は、事前に社内の党組織の意見を優先的に聞く」「会社の経営トップは社内の党組織トップを兼務する」などと明記された。それは、トヨタやホンダと合弁事業を行う自動車大手の広州汽車集団など、日本企業と取引のある企業も例外ではない。定款まで書き換えるのは、異例のことだ。
ちなみに中国の国有企業は、共産党幹部たちが企業の経営トップを任命し、経営戦略まで指示している状態である。
中国経済は今後も発展するのか
中国政府が企業への支配を強める背景には、秋に5年に一度の党大会を控えていることがある。権力基盤を盤石にしたい習近平国家主席が、体制の引き締めを図っているのだ。
こうした中、日本や欧米企業が、いつ中国共産党が介入するか分からない中国企業と信頼関係を築くのは、極めて難しい。
中国は経済のみを自由化し、世界第2位の経済大国となったと主張しているが、このような状態では世界から信頼されない。中国が全体主義国家から自由と民主主義の国家体制に変わらなければ、この問題はいつまでも解決しないだろう。
そもそも、経済が発展するということは、人々の幸福が広がることを意味する。例えば鉄道をつくれば、それを人々が利用する。すると鉄道会社はもうかり、また鉄道をつくるといった形で、人々の感謝のしるしとしてお金が循環し、経済は発展していく。
これが、需要がなく、誰も使わない鉄道だったらどうだろうか。お金は循環せず、発展しないのが普通だ。今、中国では、ほとんど人のいないゴーストタウンや通る人がほとんどいない橋などが増えているという。企業が人々の必要とする仕事をするのではなく、中国共産党のご機嫌を取る仕事をしている証拠だろう。党の介入がある限り、中国経済の真なる発展はない。
(山本泉)
【関連書籍】
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