安倍首相の真珠湾訪問は「戦後を終わらせる試み」か? 【大川隆法 2017年の鳥瞰図(5)】
2016.12.23
2016年は、世界中で「予想外」な出来事が立て続けに起きた。2017年は、トランプ米大統領の出現により、さらに予測不可能と言える。
本欄では、26年前にイギリスのEU離脱を、2年前に朴槿惠・韓国大統領の辞任劇を、そして1年前にトランプ氏の大統領就任を予想していた大川隆法・幸福の科学総裁(関連記事参照)が語る、2017年以降の国内外の世界の行方を紹介する(本記事は、大川総裁著『繁栄への決断』より、一部内容を紹介したもの)。
第五回目のテーマは、「安倍首相による真珠湾訪問」について。
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真珠湾訪問を評価するメディア
安倍晋三首相は、12月26、27日(現地時間)に米ハワイを訪問し、オバマ米大統領とともに、真珠湾で旧日本軍の攻撃により戦死した犠牲者を慰霊する予定だ。
両首脳は真珠湾のアリゾナ記念館で献花した後、所感を述べる予定だが、米国家安全保障会議のクリテンブリンク・アジア上級部長は、その場に日本軍による真珠湾攻撃の生存者や第二次大戦の退役米軍人らを招待することを明らかにした。
政府は、オバマ氏による広島訪問とは関係がないと述べているが、日米メディアの多くが、両首脳の行動を呼応するものとみなし、戦後を終わらせる試みとして評価している。
外交が分からない安倍政権
多くのメディアが手放しで今回の訪問を評価するなか、大川隆法・幸福の科学総裁は『繁栄への決断』で安倍首相の行為を外交的失策だと指摘する。
「 オバマ大統領は、八年間の政治をアメリカ国民によって否定された方です。そういう方の『最後の労い』に行くようでは、次のトランプ氏との関係は非常に際どいものになるでしょう。安倍首相は思いとどまるべきだと、私は考えます 」
トランプ氏はすでに、ロシアのプーチン大統領、台湾の蔡英文総統、フィリピンのドゥテルテ大統領など、諸国のトップと電話会談をしている。
ロシア政府は、トランプ氏との電話会談で「国際テロリズムや過激派との戦いなどにおいて建設的な協力関係」の構築を目指すことで合意したと明らかにした。オバマ政権が冷戦構造を引きずり、ロシアとの関係を悪化させたことを考えると、革命的である。
また、トランプ氏は蔡英文氏とも電話会談を行った。1979年の米中国交正常化以来、アメリカの大統領または次期大統領が台湾総統との会談を行うのは初めてのことであり、台湾を自国の一部と主張する中国に対する挑戦状ともいえる。
このように、世界の流れは確実に「トランプ革命」へと向かっている。それなのに、もうすぐ任期を終えるオバマ大統領の"ご機嫌"を取ろうとしていることは、世界に対して「日本のトップは、世界で何が起こっているのか全く分かっていない」ということを示しているのと同じである。
宗教行為としての慰霊
今回の真珠湾訪問に関しては、さらに大きな問題点がある。
安倍首相は、真珠湾訪問の目的を「犠牲者の慰霊のため」としているが、「慰霊」という言葉の重みを、安倍首相が理解しているとは言いがたい。
もし本当に「慰霊」が目的ならば、他国の戦死者を慰霊する前に、まずは自国のために戦った人たちを慰霊する必要があるということだ。
大川総裁は前掲書で、「慰霊」という言葉を軽々しく口にする安倍首相の問題点を、宗教的観点から指摘すると共に、真珠湾に「慰霊」に行くことには大きな矛盾があることも述べた。
「 『日本国の首相が靖国神社に慰霊することは、政教分離違反になり、憲法の定めているところに反する』という主張が正しいとするならば、ハワイへ慰霊に行くことも政教分離違反のはずです。また、『慰霊』という言葉を安易に使ってほしくありません。これは、宗教的な考え方であるのです 」
慰霊とは、死者の霊を供養し慰めることを意味し、明らかに「宗教行為」だ。靖国への参拝を、私的なものか公的なものかを問いただし、「政教分離違反」と批判しているメディアや識者は、今回の真珠湾を手放しに評価している。彼らは「慰霊」という言葉を、政治的パフォーマンスに貶めてしまっている。
国を守るために戦った先人たちが眠る靖国を参拝せず、真珠湾を訪問しようとする安倍首相を、大川総裁は次のように喝破した。
「 首相官邸から、わずか数分の靖国神社に祀られている二百五十万の英霊に対し、慰霊することができないにもかかわらず、ハワイに慰霊に行ける首相とは、いったい何者であるのか 」
世界では、戦死した自国の兵士たちへの敬意を表し、慰霊することは常識である。
アメリカ南北戦争において、奴隷解放を目指すリンカン大統領率いる北軍に敵対して最後まで戦った南軍のリー将軍は、アメリカ史上屈指の名将として評価が高く、アメリカジョージア州アトランタ市郊外のストーン・マウンテン州立記念公園には、リー将軍の乗馬姿が彫られた岩がある。
現在、奴隷制はアメリカ史における闇の部分として扱われているが、その奴隷制を支持した大将であっても、勇敢に闘ったことを評価されている。
いわんや、本欄で何度か述べてきた通り、先の大戦は欧米列強による有色人種差別に対して、当時アジア唯一の大国であった日本が立ち上がった戦いである。これを、民間人に対して原爆を落としたアメリカの行為と、同列に扱えるはずもない。
オバマ大統領が広島訪問をしたから、こちらも真珠湾の犠牲者を慰霊するというのは、一国のリーダーとしての見識に欠けているのではないか。
いつまで「人気取り政治」をするのか
今回の訪問に反対する声がほとんど聞かれないことを見れば、安倍首相の狙いは、まさしく「メディアと国民の人気取り」にあったのだろう。
だが、首相の仕事とは、世間からの人気や評価を上げることではなく、「何が正しいのか」「国家のビジョンをどうするか」「世界はどう動くのか」を考えることである。人気取りを意識した真珠湾訪問は、見送るべきだろう。
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【関連書籍】
幸福の科学出版 『繁栄への決断 ~「トランプ革命」と日本の「新しい選択」』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1785
【大川総裁 2016年の予言】
2016年11月30日付本欄 韓国・朴大統領が辞任の意向を表明 「見せしめ政治」は正義なのか
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12273
2016年6月24日付本欄 イギリスのEU離脱は26年前に予言されていた
http://the-liberty.com/article.php?item_id=11546
2016年11月9日付本欄 米大統領選 トランプ氏の勝利は1月に予言されていた
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12177
【関連記事】
2016年12月8日付本欄 「世界レベルの革命が今まさに起きている」 大川隆法総裁 エル・カンターレ祭大講演会「真理への道」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12300
2016年12月6日付本欄 安倍首相が12月末に真珠湾慰霊 歴史を直視しない「和解」に意味はあるのか
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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