ミャンマー新大統領にセイン氏。実質的に軍政継続

2011.02.06

4日、ミャンマー連邦議会での投票で新大統領にテイン・セイン現首相が過半数を得て選出された。来週にも新政権が発足し、タン・シュエ国家平和発展評議会議長が国家元首を退き、軍事政権が03年に定めた「民政移管ロードマップ」に則って進めてきた「民政移管」のプロセスが完了する見込みだが、実質的に軍の支配が続くことに変わりはなさそうだ。

ミャンマーではシュエ議長による独裁政治が長く続き、国民民主連盟(NLD)を率いるアウンサン・スー・チー氏らによる民主化運動が弾圧されてきた。米欧をはじめとする国際社会が民主化を求める中、昨年11月、20年ぶりに総選挙が行われ、先月31日に議会を招集、今月3日までに3人の大統領候補を選出。そして今回、昨年に軍を退役して連邦団結発展党党首として下院選挙に当選していたセイン氏が、他の2候補に大差をつけて大統領に選ばれた。

テイン・セイン氏はタン・シュエ氏の側近中の側近であり、「忠実な部下」とされてきた人物。また議会の最大与党は軍事政権翼賛政党である連邦団結発展党(USDP)で、両院は8割以上を軍に近い議員が占める。さらに民政移管と同時に発効する新憲法では、非常時は大統領権限が軍に移譲されるなど軍の優位が定められており、今後もタン・シュエ氏の影響力と軍の支配は続くと見られる。

アウンサン・スー・チー氏は新大統領選出を受けて「驚きはない。予想通りだ」と述べ、実質的な軍政存続である「民政移管」を評価しない姿勢を示している。本誌は昨年、同国の「北朝鮮化」を警告する記事を掲載したが、今後、民主化が進むには、引き続き国際社会の根気強い働きかけが必要となる。(由)

【関連記事】北朝鮮化するビルマ http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=44

ビルマ軍事政権とアジアの新冷戦 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=79

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