『カエルの楽園』がこの参院選に問いかけるもの
2016.07.05
『永遠の0』や『海賊とよばれた男』などを著したベストセラー作家、百田尚樹氏の最新刊『カエルの楽園』の売れ行きが好調だ。テレビなどのメディアに取り上げられる機会が少ない割に、発売から約4カ月で、20万部以上を売り上げているという。
同書は、現代の日本や日本人を痛烈に皮肉る寓話だ。そのキャッチコピーは「最大の悲劇は、良心的な愚かさによってもたらされる」。以下、まだ読んでいない方、これから読もうと考えている方に、そのストーリーを簡単に紹介したい。
奇妙な「三戒」を守れば平和が保てると信じるカエルたち
凶暴な別の種類のカエルによって母国を侵略されたアマガエルのソクラテスとロベルトは、安住の地を求めて旅に出た。さまざまな危険と隣り合わせの旅の末、2匹は命からがら豊かで平和な国「ナパージュ」に辿り着く。
そこでは心優しいツチガエルたちが平和に暮らしており、ソクラテスとロベルトは、ついに「カエルの楽園」にたどり着いたと喜んだ。しかしソクラテスは、その国の事情を調べていくうちに、この国の何かがおかしいと、疑念を抱くようになる。
ナパージュの国民は、奇妙な戒律を守っていた。それは、「(1)カエルを信じろ」「(2)カエルと争うな」「(3)争うための力を持つな」という「三戒」だ。
情報発信者である「デイブレイク」というカエルが、毎日、「この三戒を何よりも大切にすることで、この国の平和を保つことができる」と集会で国民に語りかけ、国民もそれを信じて疑わない。
そんな中、すぐ近くの沼に棲む、身体が大きく凶暴な性格のウシガエルが、少しずつナパージュの領土に入り込み、ツチガエルを侵略する機会をうかがっていた。ウシガエルの危険性を訴え、もしもの時のためには「三戒」を破棄して国を守ることを主張する政治家や国民は、国民から袋叩きに遭い、殺されてしまった。そんなある日、恐れていた事態がついに起きてしまった――。
現代の日本に迫る危機を風刺
この寓話は、現在の日本を風刺的に描いている。
作者の百田氏は、「三戒」を守ることで、国を危機的状況に追いやるカエルたちの愚かさを描き、「憲法9条を守れば戦争は起きない」と考えるような、平和ボケした日本人に警鐘を鳴らしているのだ。
その中では、「デイブレイク」という、国民を扇動する情報発信者を登場させることで、いわゆる「朝日新聞論法」を強烈に皮肉っている。
日本の多くの国民は、今、日本が享受している平和が、今後もずっと続いていくと信じて疑わない。中には、「戦争をする力を持たないことで、戦争は起きない」「軍事力を持つと相手国を挑発してしまい、戦争を引き起こす」と主張する人もいる。
国防を真正面から訴える政党の少なさ
しかし、中国や北朝鮮などの軍事的な拡大に目を向ければ、日本の国防体制を強化しなければいけないことは明らかだ。
現在、参院選を目前にし、自民党、公明党、民進党、共産党は、社会保障問題や、経済政策など、国防以外の争点を全面に押し出して戦っている。
しかし、国が侵略されてしまえば、経済も社会保障もなくなる。政治には、国民の生命や財産、安全を守る責任がある。
その思いで、国防強化を真正面から訴えている政党もある。例えば、幸福実現党の政策には、アメリカとの連携強化や憲法9条の改正、自衛隊の装備拡充、防衛予算の倍増、核装備の検討など、具体的な防衛力強化のための方法が並んでいる。国防の危機が迫る今、有権者には「新しい選択」が迫られている。
(小林真由美)
【関連書籍】
新潮社刊 『カエルの楽園』 百田尚樹著
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