米大統領選 共和党討論で際立った左翼マスコミのひどさ
2015.11.02
大統領選の討論会を報道するプレスルームの様子。(Joseph Sohm / Shutterstock.com)
アメリカ共和党大統領候補の第三回討論会が、このほど開かれた。討論会には、計10人の候補者が参加し、世論調査で1位、2位を争う不動産王のドナルド・トランプ氏やベン・カーソン医師、崖っぷちに立たされていたジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事やロン・ポール上院議員の姿があった。
ブッシュ氏は終わりか?
世論調査で支持率が下がりつつあり、窮地に立たされたブッシュ氏は、この討論会に賭けていた。しかし、討論の序盤、マルコ・ルビオ上院議員を批判したブッシュ氏は、激しい反論に遭い、議論に「負けた」という印象を残してしまった。
米メディアはこぞって「ブッシュ候補は終った」と報じた。マスコミは、ブッシュ氏が「臨機応変に答弁するのが苦手であり、口下手である」ことが問題の一つと指摘している。また米国民が、既存の政治家や「政治屋」に嫌気がさし、それがトランプ氏やカーソン氏など議員出身ではない"新規参入"の候補者の人気の基になっているという。
逆に、ブッシュ氏は「いままでと同じ政治家」というレッテルをはがすことができていないというのだ。大統領選の道のりはまだまだ長いため、結果は分からない。しかし、ブッシュ氏の大統領への道筋に黄信号が点滅していることは確かだ。
沸騰するマスコミ批判
しかし、今回の討論会でもっとも大きな批判を受けたのは、司会を務めたニュース専門放送局「CNBC」だった。3人の司会者が候補者に投げかけた質問は、「相手を悪く見せるような言い回しをしている」と批判された。
たとえば、「アメリカが抱える借金についてどう思うか」と聞くのではなく、「アメリカが抱える借金に関するあなたの見解は、あなたが大統領候補としてふさわしくないことを示しているのではないですか」などという言い回しの質問が続いた。
これに対して、討論中の候補者たちはお互いを批判するのではなく、「ひどい質問だ」「悪意がある」と、揃って司会者を批判した。
討論後も、共和党や他のマスコミだけでなく、視聴者からも批判が集中。ネット上では、「民主党を利するための偏向報道」「質問がひどくて、政策に関する議論が置き去りにされた」などという声であふれた。
CNBCは一般的に左寄りのマスコミとして知られ、「保守系の共和党候補を悪く見せようとしたのではないか」と指摘されている。
もちろん、テレビや新聞が大統領選の候補者たちに意見をぶつけることは必要だ。しかし、大統領候補同士の討論で、争点が「候補者の見識」よりも「質問のひどさ」に向かうようでは、マスコミとしては失格である。
民主主義は、良識あるマスコミが存在してこそ健全に機能する。マスコミが発信する情報を基に、有権者が人物を判断し、投票するからだ。今回の討論会は、その大切さを再認識する機会になったのかもしれない。(中)
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