日韓が対立する歴史問題をめぐって、両国や第三国の識者がさまざまな意見を出している。インドにある政策研究センターのブラマ・チェラニ教授が、「日韓よ、中国を利する歴史論争から抜け出せ」と題した記事を、このほど、米週刊誌ニューズ・ウィーク(日本語版)に寄稿した。しかし、「慰安婦の強制連行」がつくり話であるという事実は、理解していないようだ。
記事の中でチェラニ氏は、「日韓が手を打たなければ、両国関係は冷え込んだまま推移し、そこに中国が付け込みかねない」と警告。昨年9月3日を「抗日戦争記念日」に定めた中国政府についても、「ベトナムやインドが、中国による侵攻を忘れないために記念日を制定したら、一体どうなることだろう」と指摘した。
しかし一方で、「日本が過去について、改めて自責の念をより明確に表明すれば、韓国は公式の政策から歴史の遺恨をぬぐい去ることに同意するかもしれない」とし、日本が韓国に譲歩すれば、日韓は協力できるとした。
日本は韓国に譲歩したらダメ
日韓の対立が中国を利するという指摘は正しい分析だが、日本が韓国に譲歩する必要はない。
韓国は、産経新聞の前ソウル支局長の出国禁止措置を解除せず、警戒すべき中国に急接近して米韓同盟に亀裂を生むなど、民主主義国として価値観を共有できる国とは言えない。歴史問題に関しても、慰安婦の強制連行はつくり話であることが明らかになっている。
もし仮に、日本が韓国に譲歩して首脳会談の開催などを進めても、その後、韓国が日本に難癖をつける可能性は十分にある。
日本国内では、2月22日の「竹島の日」、3月下旬からは中学校の教科書検定、4月下旬にも靖国神社の例大祭などが控えている。こうした節目に、安倍晋三首相が韓国を刺激しないように曖昧な立場を貫いたとしても、結局、首脳会談は中身のないものとなり、「会うことだけ」が成果となるだろう。
日韓は今年6月に国交正常化から50年を迎える。真の未来志向の関係は、韓国が歴史問題の真実を見て、この問題を外交に持ち込まず、中国と正しい距離を置くことから始まる。(山本慧)
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