ユダヤ人が移住先として、「エルサレム」ではなく、ドイツ・ベルリンを選択し始めている現状を、このほど英エコノミスト誌が伝えた。

ユダヤ人は、モーセの出エジプト以降、「神から与えられた」とするイスラエルの地に居住していたが、イスラエル王国がローマ帝国に滅ぼされて以後、1千年以上にわたって世界に離散していた。しかし、1948年のイスラエル建国以降、首都と主張する聖地エルサレムを目指し、「祖国に帰ろう」と、イスラエルへの移住が始まった。

しかし、48年のイスラエル建国前からこの土地に住んでいたパレスチナ人は、無理やり追い出される格好となり、現在はイスラエル全体の22%である「ガザ地区」と「ヨルダン川西岸地区」に居住することを余儀なくされている。しかもガザ地区は、イスラエルによる攻撃が何度も繰り返され、ヨルダン川西岸地区では、イスラエルが新たにユダヤ人の住居を建設するなど、パレスチナ人の生活が脅かされ続けている。

イスラエルとパレスチナの争いには出口が見えない。そんな中、イスラエルへのこだわりを捨て、ドイツの「ベルリン」を選ぶユダヤ人が増えている現状がある。

Facebook上では、「Olim Le-Berlin(Let's ascend to Berlin)」と題したページを支持する人が60万人に達している。また最近では、先祖がドイツや北欧に住んでいたユダヤの人々が、ドイツやハンガリー、ポーランドの領事館に列をなして国籍の取得を求めているという。

またスペインでも、1492年のユダヤ人追放の被害にあったユダヤ人の子孫に、国籍を認める法案が審議中。立法されれば今後ますますユダヤ人のヨーロッパへの移住が盛んになりそうだ。

ベルリンでは反セム主義(ユダヤ人差別)のデモが広がっているほか、生活費はイスラエルの3倍もかかるというデメリットも多い。それでも、ユダヤ人の若者や大学を卒業した女性、独身者(ユダヤ教では結婚を推奨している)などが、「テルアビブは住み辛い」と移住を進めている最大の理由は、戦闘から身を守ることにあるのだろう。ユダヤ人の中でも、土地にこだわって占領地域を拡大し、パレスチナ人を追い出すために戦闘を続けることに疑問を抱いている人も多い。

こうした中で、中東の国々から評価されている日本の果たすべき役割は大きい。

本誌12月号の特集でも紹介しているが、日本は欧米諸国と違って中東の紛争においてあまり利害関係がない。今後、日本が中東地域のためにできる国際貢献として、日本に親和的で平和的な考えを持つユダヤ人を、移民として受け入れることも考慮に入れるべきだろう。(晴)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『イラン大統領vs.イスラエル首相』 大川隆法著

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