フランシスコ・ローマ法王はこのほど、イスラエルのペレス前大統領と会談した。そこで、ペレス氏はローマ法王に、宗教対立によるテロなどに対処する「宗教版国際連合」の設立を提案した。

提案で、ペレス氏は、「かつて戦争の大半は国家という考えが引き金だったが、今日の戦争は宗教を口実に起きている」「(イスラム国のような)こうしたテロリストに対抗できるのは宗教の国連とも言うべき宗教連合だ」などと語り、その宗教連合のトップにはローマ法王が就くべきだとした。

ペレス氏と言えば、イスラエル内のパレスチナ問題に対して和平を推進したことで、1994年にノーベル平和賞を受賞した人物。だが、ガザ地区へのイスラエルの空爆に象徴されるように、ユダヤ教とイスラム教の憎しみにより、同地域に恒久的な平和が訪れていないことを考えれば、宗教連合の創設で成果が上がるのかについては一定の疑問符が付く。

また、イスラム国などのテロリスト台頭の原因には、キリスト教とイスラム教の対立があるが、その当事者であるフランシスコ法王が、平和の実現を訴えたところで、イスラム教徒の心に響かないだろう。

そもそも、対立している宗教のどちらに正当性があるのかを誰が判断するのか。宗教の世界に、もし、民主主義的な合議制が導入されるのであれば、多数の者が正しいということになり、かつての魔女狩りや少数派宗教への弾圧など、真理が何かを見えなくさせてしまう恐れもある。

キリスト教とイスラム教の根本的な対立原因は、両者をつくった神が違うと認識している点だ。しかし、宗教の違いは開祖の個性によるもので、二大宗教をつくった神は同一であることを、大川隆法・幸福の科学総裁が説いている。両者に根強くある「非寛容さ」が対立を生み出しているために、両者を融合する新しい教えが必要だ。

宗教連合の設立を訴えるペレス氏には、平和を愛する心があることは認める。しかし、他宗を認めず、排撃しようとする偏狭な考え方を改めない限り、宗教対立は続くことに気づくべきだ。(山本慧)

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