東日本大震災後、被災地で幽霊を目撃する人が続出している。このほど発売された「文藝春秋」8月号には、「人はなぜ『幽霊』を見るのか」と題し、被災地で聞き取り調査をしたノンフィクション作家の柳田邦男氏と、「臨床宗教師」という取組みで幽霊を見た人々をケアしている東北大学大学院教授の鈴木岩弓氏の対談が掲載された。

記事では、被災地の中でも津波の被害が特に大きかった地域で、「亡くなった子が毎晩、幽霊になって出て来る」「亡くなった父が部屋でぼーっと立っていた」など、幽霊を見たという声が多いと紹介。幽霊について「脳が疲れて幻覚を見たのだ」と捉える医師たちは、被災者の悩みを解決できずに戸惑っているという。

こうした現状を受けて、被災した仙台市にある東北大学に、傾聴のためのノウハウを教える「実践宗教学寄付講座」が設置された。被災者のケアには、「現れた幽霊にどんな意味があるのか」という問いに答える必要があるといい、宗教者ならば、被災者の「霊的な現象」に向き合えるというわけだ。

被災地に現れる幽霊の報告は、これまでに産経新聞やAFP通信などでも報じられてきた。震災を機に、目に見えない存在や世界に対して、真剣に向き合おうという動きが出始めている。

そんな中、幽霊を実在として描いた物語『超救助犬リープ』(学芸みらい社)という作品が、第25回日本動物児童文学大賞を受賞。15日に発刊される。

主人公は、震災時などにがれきに埋まって動けなくなった人を見つける災害救助犬「リープ」。その担当トレーナーが救助活動中に死んでしまうが、幽霊となって現れ、リープの救助活動を手伝う。そのおかげで、発見の成功率が上がったリープは「超救助犬」と称されるようになる、というストーリー。

犬の視点から、震災時の緊迫した現場の様子が描かれたり、犬の性格によって警察犬や盲導犬など与えられる役割が決まるなど、知られざる「救助犬」の姿を紹介。また、人間や動物などの本質が「魂」であるという霊的真実が描かれ、大人でも興味深く読める内容だ。

幽霊となったトレーナーが地上に留まったのは「リープ」を助けるためだったが、現在、被災地で出没している幽霊の多くは、突然見舞われた「死」を理解することができず、地上をさまよっている犠牲者の魂であろう。

彼らを供養するためには、現在生きている人々が「人間の本質は魂であり、転生輪廻を繰り返す中で魂を磨き、神仏に近づく努力を続けている」という正しい霊的知識を身につけ、その思いを犠牲者に手向ける必要がある。(居)

【関連記事】

2013年7月31日付本欄 公邸に移らない安倍首相 「幽霊が出るから嫌」と本心を告白?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6430

2013年4月9日付本欄 【海外メディア】被災地で「霊」に悩む人々をロイターがレポート

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5865