文部科学省が、初めて、有人での火星探査を目標に掲げた。これは、同省が5月30日に公表した、国際協力での宇宙探査の長期目標に盛り込まれたもの。火星には、長期滞在での調査や資源利用などの可能性があり、その過程で、科学技術の振興とさらなる産業発展の効果を期待している。

日本は、国際宇宙ステーション(ISS)を使って技術開発を進め、月探査や無人火星探査を経て、2030年代後半に有人火星探査の実現を目指す。現在、宇宙技術における日本の得意分野は「無人輸送」だが、予算や技術面で一国ではまかないきれない部分がある。そこで、2016年~17年に、日本で開催予定の「国際宇宙探査フォーラム」で、国際的な協力を呼びかけるという。

目標は掲げたばかりではあるが、これまで日本が有人宇宙探査に消極的だったことからすると、大きな進歩と言える。

しかしその一方で、国際的な宇宙開発に急ブレーキがかかる可能性が出てきた。ウクライナをめぐる問題で、ISSで協力しているアメリカとロシアの仲が悪くなってきたからだ。