国連がシリア内戦での人権侵害に関する報告書を発表したと、複数の海外メディアが報じている。

国連の調査委員会は5日、同報告書で「アサド政府軍が市街地に投下している『たる爆弾』は、無差別な虐殺だ」と指摘し、「人道に対する罪」に該当すると批判。事態の改善が見られない状況についても、「国連の安全保障理事会にも責任がある」と追及し、国際刑事裁判所への付託など具体的な措置を取るように要請した。同日付ロイター通信電子版が報じた。

また、同報告書は、今年1月までのシリア内戦での人権状況をまとめたもので、「シリア政府が都市を包囲し、市街地への爆撃と市民が投降するまで飢餓状態に置くという作戦(starvation until submission campaign)をしている」などと、深刻な現状を述べ、初めて「人道に対する罪」に当たると非難した内容であると、中東の国際メディアであるアルジャジーラが5日付電子版で報じている。

シリア危機は、2011年1月の反政府運動で端を発して以来、いまだに収束する気配がない。内戦によって、これまでに14万人以上が亡くなり、アサド政権と反政府勢力の間で行われた2度の和平交渉も物別れに終わっている。さらに、政府側が使用したとされる化学兵器の処理について、アメリカの国連使節が「シリアが化学兵器の監視団を妨害し、化学兵器の製造設備の破壊に関する交渉を拒否している」と批判するなど、こちらの順調ではないようだ。

アメリカは、化学兵器の使用をシリアへの武力介入の分水嶺に設定し、「シリアは化学兵器を使用した」と、世界に発表した。しかし、肝心の武力制裁を避け、和平交渉へと傾いている。カーニー米報道官は和平交渉について、「唯一の解決策」と発言したが、その唯一であった交渉も失敗が続いている。アメリカはシリア外交が失敗したと明らかになった今も、具体的な挽回策を講じることができないでいる。

また、アラブの春がエジプトにまで広がった際、オバマ大統領はこの民主化運動を歓迎して、親米政権からイスラム系政権に交代したが、その後も軍部によるクーデターで混乱が続いている。そのエジプトの政治的混乱に対しても、アメリカは何ら具体的な解決に乗り出そうとはしていない。オバマの中東外交はことごとく言いっぱなしで終わっているのだ。

本欄で、度々シリアへの武力制裁の必要性を訴えていたが、同報告書によって、介入の正当性が高まったと言える。だが、戦争をしたくないという意図が見透かされているオバマ大統領は、世界の警察官に立ち返らない限り、中東で有効な手は打てないだろう。(慧)

【関連記事】

Web記事 【衝撃スクープ】「化学兵器は簡単に隠せる」 シリア・アサド大統領の守護霊が激白

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6699

2014年4月号記事 アメリカが見殺しにするシリア国民 - The Liberty Opinion 2

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7413

2014年2月19日付本欄 シリア和平会議は第2ラウンドも物別れ アサドとオバマと罪深いのはどちらか

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7387