2014年11月の中間選挙と、2016年の大統領選の前哨戦として注目を浴びる、アメリカ南部のバージニア州知事選が5日、投開票日を迎える。オバマ大統領が掲げる医療保険制度(オバマケア)が争点に上がり、民主・共和両党が拮抗する激戦州とあって、今後のオバマ政権の行方にも影響を与えそうだ。

共和党の候補者は、州司法長官のケン・クッチネリ氏。氏は2010年、国民に強制的な加入を迫るオバマケアは違憲として、全米で初めて訴訟を起こした人物。共和党内でも、オバマケアに対して強い拒否感を示す草の根運動「ティー・パーティー(茶会)」との結びつきが強い。「大きい政府」を目指すオバマ政権に対して、減税を掲げるとともに、同性愛や人工妊娠中絶に強く反対。共和党内でも「保守強硬派」と言われている。

対する民主党の候補者は、元民主党全国委員長のテリー・マコーリフ氏。氏は、ビジネスマンの経験を経て政界入り。1996年の大統領選で、ビル・クリントン元大統領の選挙資金集めの責任者となり、2008年の大統領選でも、ヒラリー・クリントン前国務長官が民主党内で候補指名争いをした際の選対責任者を務めた「クリントン・ファミリー」の一員だ。

クリントン前長官は、10月19日に同州で行われたマコーリフ氏の選挙キャンペーンに登場。このときクリントン前長官は、暫定予算を人質にとってオバマケアの修正を迫り、16日間にわたって政府機関を閉鎖させ、多くの労働者に多大な影響を与えたとして、共和党陣営を批判した。

バージニア州知事選でも、オバマケアに対する両氏のスタンスは、有権者の投票行動に大きな影響を与えそうだが、オバマケアは、10月中旬まで米議会でもつれた債務上限の引き上げ問題の“元凶"となっており、この問題は、来年2月に先送りされただけ。その意味で、同州知事選の結果は、今後のオバマ政権の行方にも影響を与えそうだ。

各種メディアは、オバマケアの阻止をねらって強行な姿勢を取り続ける共和党を批判するものが多い。だが、共和党は「オバマケアを撤回せよ」というスローガンを掲げて、10年、12年の下院選でいずれも勝利を収めている。オバマ大統領はこれを無視する形で、強行にオバマケアを実施しようとしているわけだが、これは「大統領の独裁」と言える。

つまり、共和党はオバマ大統領の独裁を止めようとして戦っている。もちろん、共和党の中には、国防費を削減し、海外からの米軍撤退を主張する勢力もあり、全面的に肯定することはできない。

しかし、国民を強制的に保険に加入させ、加入しなければ罰金を科すような「オバマケア」に対して抵抗し、アメリカがもっとも大切にしてきた「自由」の精神を守ろうとする共和党の姿勢に、一定の正しさがあるという視点を忘れてはならない。(格)

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2013年12月号本誌記事 反オバマケアの共和党に一定の正しさ - The Liberty Opinion 1

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2013年11月3日付本欄 オバマケアで保険料が値上がり 「国民皆保険」に危機?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6878

2013年10月17日付本欄 米デフォルト回避・政府閉鎖解消 「共和党悪者論」の空気に注意

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