日本が再び、スーパーコンピュータ(スパコン)で世界一を目指すことを決めた。

文部科学省は、理化学研究所のスパコン「京」(けい)の100倍の性能を持つ次世代機を開発することを決め、8日の同省有識者会議に報告した。1000億円ほどの予算を計上する予定で、2020年の稼働を目指す。有識者会議の主査である神戸大・小柳義夫特命教授は開発の意義について「最先端のものを実現するため、1位を目指すことは科学にとって重要だと思う」と話した。

「京」は、2011年に計算速度で世界一となったものの、翌年アメリカに抜かれ、世界3位に後退してしまった。スパコンの計算速度を向上させるための技術開発に予算が配分されなかったためだ。

今回開発を目指す次世代スパコンは「エクサ級」と称され、毎秒1エクサ(100京)回の計算速度を持つ。地震や津波などの災害対策や新素材・新薬の開発など、科学技術の進歩に役立てるほか、産業分野への応用を目指す。

アメリカや中国も、国の威信を賭けて「エクサ級」スパコンの開発に力を入れている。軍事力や核戦略において、スパコンが非常に重要だからだ。たとえば、現在世界一の計算速度を誇るアメリカのスパコン「セコイア」は、地下核実験なしで核兵器の維持管理を行うために使用されている。

また、コンピュータの暗号技術は、その時点の最高性能のスパコンを使って、解読するのに1年以上かかれば安全であるとみなされる。サイバー攻撃への防御策としても、スパコンの計算速度を上げることが必要だ。

宇宙開発や天文学の研究でも、宇宙ロケットの開発や、惑星探査機「はやぶさ」の軌道計算、また、宇宙の創成についての研究など、あらゆる分野でスパコンが使われている。未知なるものの探究に、高性能のスパコンは欠かせない。

日本は経済面においても、科学技術においても、世界のリーダー国として成長する余地がある。さらに国防の面でも、アメリカ依存から抜け出し、自主防衛できるだけの軍事力を持たなければならない。そうした意味で、スパコンへの予算配分は無駄金どころか、国を守って未来を拓くための重要な投資と考えるべきである。(晴)

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2012年6月19日付本欄 日本スパコン2位に後退 世界一復活を目指せ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4447