3月でイラク戦争開始から10年にあたる。このため海外メディアでは、イラク戦争の評価を問う論説が数多く出ている。大半は、アメリカのイラク戦争に正義はなく、かつ不毛な戦争であったと結論づけるものだ。

たとえば4日付の英フィナンシャル・タイムズ紙社説は、ブッシュ大統領が9・11の首謀者オサマ・ビン・ラディンとイラクのサダム・フセイン大統領とを結び付けたのは間違いであり、大量破壊兵器も存在しなかったと指摘。イラクへの軍事介入は、第二次大戦後に行われた軍事侵攻の中で最大の間違いであり、それゆえ、正義なき戦争であったと結論づけている。

たしかにイラク戦争のコストは、ノーベル経済学賞を受賞したステグリッツ教授の著書『世界を不幸にするアメリカの戦争経済──イラク戦費三兆ドルの衝撃』のタイトルが象徴的に示すように、2009年のオバマ大統領就任の時点で、総支出は3兆ドルに達したという説もある。その一部を回すだけでも、向こう3世紀ほどのアメリカの社会保障基盤を整備できたとさえ言われるほどだ。イラク戦争での米軍の死者数は、9・11の死者2982人を超えており、アフガンでの死者も合わせれば、4000人を上回る。

その結果、その後の米政権は海外での有事に地上軍を投入することを、ためらいがちになってしまった。

象徴的なのは、シリアの虐殺に対するアメリカの対応である。アサド政権の弾圧による死者はすでに9万人以上、周辺国への避難民は100万を超えるとも言われる。しかしアメリカの対応は、先月末、ケリー国務長官がシリア反体制派に食糧や医療衛生用品など6000万ドルに相当する非軍事物資を直接支援すると表明したのみだ。

この背景には軍事物資等の供与で戦争に引きずり込まれるのを避ける意図があると見られるが、米軍の介入が遅れているため、反体制派へアルカイダ系グループが参加するのを許したという批判の声も上がり始めている。

最近では朝鮮半島で南北間の緊張が高まっているが、朝鮮半島有事でも同様のことが予想される。幸福の科学の大川隆法総裁は2月、アメリカの予言者エドガー・ケイシーの霊を呼び出し、朝鮮半島の未来を霊査した。ケイシー霊によれば、有事が起こった際に、米軍の到着はやはり遅れるのだという(『北朝鮮の未来透視に挑戦する』大川隆法著)。

オバマ大統領は、共和党政権によるイラクへの軍事介入は間違いであったとし、イラク・アフガンからの撤退を成果に掲げて二期目の再選を果たした。彼の考え方には、不介入主義が根強い。その認識を変え、アメリカがアジアに外交の軸足を移すという「アジア・ピボット」戦略を確実なものとするには、イラク戦争に対する正しい評価が必要だろう。

大川総裁は、サダム・フセインの死後を霊査した著書『イラク戦争は正しかったか』のなかで、サダム・フセインが9・11の真の首謀者であったこと、イラクは大量破壊兵器を査察の前に廃棄処分するなどしたが、すでに所有していたことなど、衝撃の事実を明かした。ブッシュ大統領の始めたイラク戦争に一定の正義はあったのである。

アメリカは、北朝鮮問題について国連による制裁を含めた解決を目指しているようだが、国連中心主義の概念は、これまでアメリカが担ってきた「世界の警察官」という役割と相反する。「世界の警察官」とはユニラテラリズム(一国行動主義)ということであり、国連安全保障理事会という「多数決」の決議を待たずに行動することを意味するからだ。

イラク戦争に「正義」があったことが広くアメリカ国民に共有され、アメリカが本来のリーダーシップを取り戻すことが強く期待される。それは新たなアジアの有事に、適切に対処することにもつながる。(華)

【関連記事】

2013年3月8日付本欄 「第二次朝鮮戦争は不可避」 北朝鮮外務省が声明

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5714

2013年3月6日付本欄 北朝鮮が朝鮮戦争の休戦協定を「白紙化する」と宣言 38度線で高まる緊張感

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5707

2013年2月16日付記事 「"第2次朝鮮戦争"が勃発!?」エドガー・ケイシーによる衝撃の未来透視リーディング

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5612