安倍晋三首相とオバマ米大統領の会談は安倍首相の「成功」と日本では伝えられているが、実際はかなりの「冷遇」であり、米国側の対中国への配慮がにじみ出ていたようだ。1日付日本経済新聞などが舞台裏を伝えている。

安倍・オバマ会談は、当初の米側の打診では1時間だけで、昼食会も共同記者会見もなしというそっけないものだったという。これは昨春の野田佳彦首相が訪米した際にオバマ大統領と1時間の会談、40分の昼食会、共同記者会見が用意されたのと比べ大きく違う。

ただし最終的には、会談の内容が深まり、昼食を含め90分の予定となり、実際には1時間50分に及んだ。

しかし、これでも中国の習近平副主席(昨年2月)や韓国の李明博大統領(2011年10月)が訪米した際に「国賓」待遇を受けたのと比べると、きわめて見劣りする。

習氏はまだ副主席の立場でありながら歓迎式典で礼砲19発で迎えられるという破格の待遇を受けた。李大統領に至っては国賓晩餐会に招待されるなど、5日間にわたって様々に歓待されている。

日経の記事によれば、オバマ大統領の本音として、尖閣で日中で紛争を起こしてほしくないという切実な思いを安倍首相に示したという。

首脳会談の内容はメディアにも明らかにされていないが、事前に中国、韓国が従軍慰安婦問題など歴史認識について徹底的なロビー工作を行い、オバマ大統領に先入観を植え付けたとの見方もある。

また、ヒラリー・クリントン氏の後任となったケリー国務長官は「親中派の中の親中派」と呼ばれるほど中国に近い人物であり、対中強硬姿勢を示そうとする安倍首相に対する警戒をオバマ大統領に強く進言した可能性も高い。

これらを総合すると、オバマ大統領の2期目は、1期目に増して「親中」であり、日本に対しては厳しいことが予想される。それを見越して中国がさらに尖閣等に攻勢をかけてきた時に、米軍が動いてくれることは期待できない。

オバマ大統領の米国に過剰な期待はせず、日本はやはり独自で国防を固め、中国にも対峙していく必要がある。安倍首相はそのことを国民にはっきり訴えるべきだろう。(仁)

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