大阪ではキタのJR大阪駅周辺やミナミの難波、天王寺の駅前再開発が進んでいる。
中でも天王寺駅前に2014年3月の竣工を目指して、「あべのハルカス」が建設中である。2007年の航空法改正で高さ制限がなくなったため、完成すれば、横浜の「ランドマークタワー」を抜いて高さ300メートルの日本一の超高層ビルになる予定だ。
低層階には、近鉄・阿倍野橋駅と近鉄百貨店、美術館が、高層階には展望台と大阪マリオット都ホテルが入居、中層階は1フロア2400平方メートルのオフィスエリアとなり、金融関連企業や、府下の大学数校のサテライトキャンパスが入居予定である。
ところが、オフィスフロアに入居を予定していたシャープが、業績低迷が原因で入居できないのではないかという話が浮上してきた。
9月15日に創立100周年を迎えたシャープだが、4月10日時点で553円だった株価が、8月15日に164円まで落ち込み、現在は190円台で推移している。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの出資計画が難航していることも背景にある。
シャープは、最大1万人超の人員削減や賞与カット、首都圏の自社ビルの資産売却、海外のテレビ工場の売却などを実施し、2014年3月期の営業黒字を目指すことで、9月28日、主力取引銀行のみずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行と総額3600億円の協調融資の契約を結び、さまざまな経営改善策を講じてゆくことを発表した。
損失が続く太陽電池事業は堺工場に集中させ、液晶テレビを製造する三重県の亀山工場は現状維持されるようだが、ヨーロッパにおける太陽光発電事業の挫折や、大型の液晶テレビが円高とウォン安の影響で韓国企業に市場を奪われるなど、国際情勢を見誤っていたもある。
シャープは1912年、創業者の早川徳次氏がベルトのバックル「徳尾錠」を考案して東京で創業。1915年に「早川式操出鉛筆」、いわゆる「シャープペンシル」を開発して社名を「シャープ」とした。1923年の関東大震災で工場が焼失、妻子も亡くす不幸に見舞われたが、その後、再起を果たしたのが大阪の地である。
本Web霊言レポート「井深大『ソニーの心』――日本復活の条件――」で、ソニー創業者の井深大氏の霊は、こう語っていた。「物づくりは、人間様が豊かな精神生活を送れるというところに強いウエイトを置いていかないと、アメリカ型の今の技術経営にやられてしまう感じがするなあ。やっぱり、この世にない物を常に探し続ける精神が失われたらいかん」
「目指してる、未来がちがう。」というシャープのスローガン通り、まだ「世の中にないもの」を創り出し、多くの人を豊かにする企業として、見事に再建、復活を果たしてもらいたいものだ。〈宮〉
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