中国の次期指導者に内定している習近平・国家副主席は19日、北京でパネッタ米国防長官と会談し、尖閣問題に介入しないように求めた。米政府はこれまでに、尖閣諸島は日米同盟の適用範囲内だとの認識を示していることから、習氏がそれを牽制した格好だ。
今回の会談で注目すべきは、習氏がパネッタ氏に対して歴史問題を“講釈"したことである。習氏は、日本の軍国主義が中国に多大な被害を与えたと述べた上で、「世界的な反ファシズム戦争の勝利の成果を否定し、戦後の国際秩序に挑戦しようとたくらむ日本の行為を国際社会は決して許さない」と語っている。
このやり取りからは、「米中は過去において、日本の軍国主義に対し、一緒に戦った間柄じゃないか」と
アメリカを抱き込もうという、習氏の戦術が浮かび上がる。「ドイツや日本の軍国主義に対し、アメリカや連合国は民主主義を守るために戦った」というのが、第二次大戦に対するアメリカの立場だ。その歴史観を思い起こさせることによって日米を引き裂きたいというのが、習氏の思惑だろう。
一方、財政問題に苦しむアメリカは、国防費の削減も不可避であり、沖縄をはじめとする東アジアからの撤退もあり得ない話ではない。今後、中国がアメリカに歴史カードで日米離間を促せば、場合によってはアメリカが食いつく可能性もある。
こうした情勢の中で、日本自身が「日本は悪い国だった」という自虐史観を引きずったままでは、「日本悪玉論」による米中接近にストップをかけることはできない。日本人自身が正しい歴史観を持つことが急務だ。
終戦後、アメリカをはじめとする連合国側は、自らが正しく、日本が悪者だったという歴史をつくるために「南京大虐殺」などを創作した。「従軍慰安婦」についても、日本と韓国の左翼勢力が作り出したものである。その作られた歴史観を振りかざして、現在、中国や韓国は、日本を断罪しているわけだ。
だが先の大戦において、日本が他国に比べ、特別に非人道的だったとは言えないし、当時の日本人は人種差別を撤廃して、アジアやアフリカにおける欧米の植民地支配を終わらせたいという思いも持っていた。もちろん、自衛的な面も侵略的な面もそれぞれあったが、先の大戦の本質は、1860年以降、互いに国力を伸ばしてきた二大新興国が衝突した「日米の覇権戦争」というものである。
日本人は、今、第二次大戦について正しく評価し直し、自虐史観を克服する必要がある。同時に、現在の中国軍拡の脅威について日米間で危機意識を共有し、同盟関係を強固なものにしなければならない。
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