8日付産経新聞および日本経済新聞(電子版)によれば、東京都心と羽田空港および成田空港をつなぐ地下鉄新線の構想について、国土交通省が東京都や関連鉄道会社と年内にも協議を開始する。8月にも、東急蒲田線と京急空港線を結ぶ「蒲蒲線」の計画が報道されたが、空港アクセスに絡む首都圏の鉄道改革計画が活発化してきた。

現在、東京駅から成田空港へは直行の成田エクスプレスもあるが、羽田空港へは浜松町または品川で乗り換えなければならない。今回構想されている地下鉄新線では、東京駅の近くに「新東京駅」を新設し、そこから乗り換えなしで成田にも羽田にも行ける。乗り換えがなくなることなどで、それぞれ移動時間が現在より約20分短くなり、新東京駅から成田までは36分、羽田までは18~19分で行くことが可能になるという。

20分という時間短縮は、個人の時間でイメージすると、さほど大きな変化とは思えないかもしれない。だが、成田空港の一日あたり利用者数は約9万人、羽田空港は約17万人に上る。例えば、これらの合計26万人の約3割の8万人が、地下鉄新線を利用して一日のうち20分を節約すると、トータルで一日あたり2万7000時間という膨大な時間が生まれる。これは一人の人生に換算すれば、約3年分もの時間に相当する。

かつて1964年には東海道新幹線が開通したことで、人や物の移動速度が上がり、日本の高度成長に寄与した。移動時間の短縮は、経済の循環速度を上げることにほかならず、経済発展の大きな条件なのだ。

地下鉄新線実現には、約4千億円と見込まれる事業費が大きな課題とされているが、時間短縮による日本経済の活発化は優に4千億円以上の価値を生み出すだろう。早期に地下鉄新線が実現することを期待したい。(飯)

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