ビルなど屋内の人工光で野菜を栽培し、生産物の質も量も天候に左右されない「植物工場」について、16日付フジサンケイビジネスアイが取り上げている。記事では、本誌2011年1月号にも登場した、「みらい」(嶋村茂治社長)が紹介されている。以下は要旨。
- 効率的な生産、安定した出荷、高い安全性がある。
- 苗床に水と肥料をめぐらせ、人工光で育てる植物工場の長所が多方面から評価され、外食チェーンのほか南極昭和基地でも導入されている。
- 収穫までの生育期間が露地栽培のほぼ半分。
- レタス、サンチュ、ロメインなどの葉物野菜約50種類が生産可能で、外食産業など10都道府県12ヵ所で導入されている。
- 農作物の消費量が多いアジアや水が豊富な中東など、海外約10カ国から導入のオファーがある。
また、インタビューで嶋村社長はこう話している。
「この先も地球規模で人口増加は止まらず、そのうち水などの資源が足りなくなる。植物工場は少ない資源と土地で運営できるという大きな利点がある」「植物工場は気候変動と関係なく、同じシステムで世界中のどこでも運営できる」
国連食糧農業機関(FAO)によると、2050年の地球の人口は91億人に増え、その人数を養うためには、食糧全体の生産量を、2050年までに2005/07年度比70%で増産しなければならないという。このままでは、世界的な食糧危機が到来するのは確実だ。
しかし、植物工場のような新しい技術が世界中に広がり、農作物が生産されれば、食糧危機を救うことができるだろう。日本の新しいスタイルの農業に期待したい。(飯)
【参考記事】
2011年1月号記事 2031年日本の未来構想(4)100億人を食べさせる!