米インターネット検索会社大手のヤフーがこのほど、最高経営責任者(CEO)に、ライバル社・グーグルの副社長(VP)であるマリッサ・メイヤー氏を迎えたが、日本人にとっても、妊娠7カ月の女性の活躍は一つのモデルになる。

メイヤー氏は、スタンフォード大卒で、人工知能研究の専門家という、いわゆる「ギーク(オタク)」。グーグル初の女性エンジニアとして社員番号20番で入社。以後、13年間にわたって「Gメール」や「グーグルニュース」「グーグルマップ」などの開発に携わると共に、その美貌で「グーグルの顔」としてイベントにもしばしば登場してきたが、経営手腕に関しては未知数の人物だ。

ヤフーの発表直後、メイヤー氏自身がツイッターで「明日、ヤフーで新しい仕事を始めるのを、とても楽しみにしているわ」と書き込んでいる。そして、さらに数時間後、同じくツイッターで「今日は、うれしいお知らせをもう一つ。ザッケリー・ボーグと私に、息子が生まれる予定よ!」と発表した。

ヤフーからはさっそく出産祝いとして、新生児用の服やヤフーのイメージカラーである紫色の「アヒル(rubber duck)」がプレゼントされ、グーグルの元同僚からは、就任初日にグーグルのロゴカラーとヤフーの紫を使った、シャレの利いた「風船のブーケ」が彼女のオフィスに届けられている。その割り切り方は、アメリカ的といえばアメリカ的なのだろうか。

CEOに就任後、3カ月足らずで出産予定日を迎えることが、ワーキングマザー(働く母親)の是非をめぐっての議論を活発化させているようだが、6月にヤフーの重役会議に呼び出されたメイヤー氏は、「妊娠していることを申告したが、何の問題にもならなかった」と語っている。

ワーキングマザーといっても、グーグルで築き上げてきた資産は推定3億ドル(約240億円)。2009年末に結婚した夫も弁護士・投資家として活躍する超セレブ夫婦。ヤフーとは5年契約で、報酬は7千万~1億ドル(約56~80億円)とも言われている。

出産後2~3週間の産休を取る予定だが、その休暇中も「生活リズムは崩さないし、仕事も続けるつもり」と言えるのは、育児の支援を豊かな経済力でまかなえるからだろう。

とはいえ、こうした経済力があり、子育てしながら働き続けられる女性を祝福し、生み出し続ける社会は、日本にとっても一つのモデルだろう。日本の目指す社会のあり方として、ヤフーCEOの活躍に期待したい。〈宮〉

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