全国から公募されて採用された大阪市の24区の区長のうち、22人が市役所で辞令を交付され、1日付で就任した(1人は欠席)。残る2名は、前職で海外に在住のため、1カ月遅れの9月1日に就任する。これに先立って、12区では、前区長を新区長の補佐役として副区長に就任している。

公募区長の顔ぶれは多彩。24人のうち、配属区が変わった人もあるが、前区長がそのまま区長となったのは6人。他の地方自治体の首長経験者が2人、民間企業の経営者や幹部、経営コンサルタントからの転身が9人など、年齢も、元NHK記者の27歳から60歳までと幅広い。新区長の任期は2016年3月末まで。

新区長は、橋下徹市長と副市長2人に次ぐ一般職としてはトップの位置づけ。決定権のある予算規模は、現行の24区計約50億円から約780億円へと拡充される。また、大阪市全体を8~9つの特別区に再編することを盛り込んだ「大阪都構想」の推進役を担うことになる。

辞令交付式の後の所属長会で、橋下市長は「明治維新以来140年、ありえなかったような法律が成立する。区長が大阪の形を設計できる。思い切りやってもらいたい」と激励した。

硬直化・肥大化した「お役所仕事」を外部の人材を入れることで、大胆な見直しと改革を進め、区同士の切磋琢磨によって住民サービスを向上させようという橋下市長の狙い通りに機能するかどうか。これまで、市政や区政にあまり関心を持っていなかったであろう住民やマスコミの注目も集まり、厳しい評価もなされるに違いない。

橋下市長は、「公募区長は僕の身代わりとして頑張ってほしい」と言いつつ、市議会では、「維新の会の首長と混同されないよう気をつけてほしい」とも答弁している。市長と"つかず離れず"で、各区長の個性が大阪を良い方向へ導くことを期待したい。〈宮〉

【関連記事】

2012年6月6日付本欄 橋下徹氏のポピュリズム政治に惑わされないために

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4404

2012年5月28付本欄 【注目書籍】屋山太郎氏新刊~民主党に騙された教訓は生かされないのか?

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4371