「大阪維新の会」代表の橋下徹大阪市長が28日、市内のホテルで政治資金パーティーを開いた。元経済企画庁長官の堺屋太一氏、中田宏・前横浜市長、飛び入りで参加した河村たかし・名古屋市長のほか、公明党の大阪市議団幹部らも出席して、約1500人が集まった。
橋下市長は、「全国で、多くの皆さんの声をいただけたら、必ずや日本を新しい方向に導いていく自信はある」と述べ、事実上、次期衆院選で全国に候補者を擁立する考えを宣言した。
大阪維新の会は、先週末の23日、「維新政治塾」の入塾式を市内で開き、約2千人の受講生から選抜した塾生を集めて、「勝たなければ意味がない」と橋下市長が檄を飛ばし、2期目のスタートを切ったばかり。入塾式で基調講演を行った石原慎太郎・東京都知事は「東京も一緒にやる。この国を再生させ、国民が納得できる政治を目指そう」と、維新の会との連携にも意欲を見せている。
塾生は約900人に絞り込まれたが、その中には、みんなの党や日本創新党の関係者も約20人含まれており、彼らと共に7月上旬までに衆院選の公約となる「維新八策」をまとめる予定だという。
ただ、今国会が大幅に延長され、秋に解散・総選挙となる見通しとなったことに、維新の会は焦りを隠せない。秋には、大阪府・市ともに議会が行われ、維新の会の松井一郎知事、橋下市長がその対応に忙殺される時期だからだ。
塾生や会の関係者からは、「橋下さんが一緒に遊説してくれなければ、知名度はゼロで戦えない」「選挙資金がない」「地元で選挙に通じたスタッフを集めるのは難しい」など、すでに不安の声も上がっているようだ。
また、維新の会の国政進出の条件は、当初、「都構想が政府に認められない場合」であったが、民主・自民・公明・みんな・国民新の5党が都構想実現に必要な新法案提出を決めたことから、そもそもの前提が崩れてしまった感もある。
真剣に日本の政治を良くしたい、という熱意を持って集まった塾生たちが、「敵」の出方によって、コロコロと態度を変える橋下市長の言動に振り回され、潰されてしまわないかと、心配である。〈宮〉
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