(『不滅の法』第5章「救世の時は今」より抜粋・編集。2011年7月10日収録)

この世を超えた世界にある「崇高な存在」を信じよ

現在、約七十億の人口が全世界に存在しています。われわれ幸福の科学の力はまだ微力ではありますが、私の教えは世界九十カ国以上に届いています(二〇一一年十二月時点)。それぞれの国で、未来の国家建設に役立てるために、この教えを学び、広げ、活用しようとしている仲間たちが活動しています。

この教えは、はるかなる遠い世界から、この地上に下りてきて、この地上に住む、ありとしあらゆるものを幸福にしようとする光です。力です。方向です。私は、闇を追い払うべき存在です。

人々は、それぞれ、自らの幸福を求めているのですが、多くの人間関係の中で苦しみや悲しみをつくり、心の闇を増やしていきます。

また、世界の中では、会社であれ国家であれ、個人を離れた、それぞれのまとまりの中で、幸福を求めて努力しているわけですが、その努力が他の国や他の人々を不幸にすることもあります。

それらは、すべて、「自らによかれ」と思う心の表れであり、「自分が幸福になれる」と思う方向を真っ直ぐに目指してはいるものの、その途中において、「他の人たちとの調和を、いかに成し遂げるか」という視点を忘れたために起きる悪であり、不調和でもあると思うのです。

私は、みなさん一人ひとりが、限りなく、各人の個性を伸ばし、自分の成功感を味わい、幸福な状態に到達できることを祈っています。しかし、その過程では、他の人々との関係において、いろいろな悩みや苦しみ、軋轢をつくるであろうことも予想しています。

だからこそ、私は、みなさんに述べたいのです。「人間」や「人間がつくったもの」、あるいは「人間世界そのもの」を超えた世界があり、その世界に崇高な存在があるという見方を忘れてはなりません。それを忘れたならば、この世における争い事は、決して、やむことがないのです。

「さまざまな個性や意見、思想がある」というのは尊いことです。しかし、そのままであっては、単なる混乱になることもあります。

そうかといって、この地上において、いろいろな人々の意見や思想、信条を無視したり、圧殺したりして、単なる一つの考え方で全部を押し潰そうとするならば、そこには大きな大きな不幸が生まれてくるであろうと思うのです。

「唯一なるものは、この地上を超えた、はるかなる世界にある。人間の手の届かない、はるかなる世界に、唯一なるものがあり、それを目指して、各人が、そして、各社会や各国家が切磋琢磨している。それぞれが向上を目指して切磋琢磨している」

そういう認識を持つことが大事です。その中に、それぞれの努力を認め合い、また、自分自身でそれを確認することの幸福も味わえるのです。

魂の輝きを失うことは「人類としての退化」

その反面、謙虚さも同時に持っていなければなりません。

ここ百年ほど、科学技術は大変に進歩しました。しかしながら、現在、この七十億の民の心は、はたして、百年前や二百年前の人々よりも優れた状態になっているでしょうか。

みなさんは、知識のベース、情報のベースでは、確かに、百年前や二百年前の人々よりも、はるかに多くのことを知っているでしょう。タイムマシンに乗って、百年前や二百年前に帰ったならば、みなさんは神のごとき存在として尊敬されるかもしれません。知識や技術の面では、おそらく、そういうところが大いにあるであろうと思います。

これが、学問の進歩であり、文明の進化であることは間違いないでしょう。

されども、「人間は、その肉体に宿りたる、高貴なる魂である」という点を見落としてはなりません。

この世的な面において、どれほど、知識が増え、技術が向上し、金銭など収入的なるものが大きくなったとしても、その人間活動の中に込められたる生き方に、魂としての輝きが失われていったとするならば、これは、残念ながら、人類としての退化と言わざるをえないのです。

過去の宗教、哲学、思想の矛盾を統合するために

「今、大きな大きな人口を抱えた、この地球という星において、変革期が訪れようとしている」と私は思います。

二千年前や二千五百年前に説かれた世界的宗教は、その使命を終えつつあり、現代文明の中で十分に機能し切れず、人々の心を救い切れずに苦しんでいるように思えます。

現時点で最高度に発展していると思われるキリスト教社会においても、「二千年前のイエスの言葉に従うだけでは、現代の問題の答えを探し出せず、苦しんでいる」という状況が続いています。

二千五百年前の仏陀の言葉の中にも、現代では必ずしも解決をもたらすものとはなっていないものが多くあります。

また、千四百年ほど前のムハンマド(マホメット)の言行録(『ハディース』)や『コーラン』の教えに基づいていても、現代のイスラム社会には数多くの矛盾が生まれています。千数百年の歴史が、その考え方や正しさを風化させているのです。

今、千四百年前のイスラムの教えを信ずる人たちと、二千年前のキリストの教えを信ずる人たちとが、二十一世紀という時代に来て、相手を理解できないところが数多くなり、互いにぶつかり合い、さまざまな所で戦争の火種になっています。

その教えの開祖が、今、生きているとするならば、「その部分は、このような解釈に変えてよろしい。このように考え方をすり合わせていきなさい。そして、相手と調和していきなさい」と言えるのですが、歴史の彼方に流れ去った宗教においては、もはや、開祖の言葉を時代に合わせて変えることができないでいるわけです。

そこで、今、私が、みなさんの前に現れて、いろいろな宗教や哲学、思想、人間についての考え方の矛盾を統合し、新しい人間観や社会観、そして、国家観、世界観を教えようとしているのです。

答えは、すべて、私の言葉の中にあります。未来の種は、私の数多くの著書の中に、もう書いてあります。これから、五百年、千年、二千年後の人々は、この中に答えを見いだしていくはずです。

不滅の法―宇宙時代への目覚め
大川隆法著
幸福の科学出版刊
2,100円(税込)

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