安住淳財務相は17日、国際通貨基金(IMF)の欧州債務危機への資金増強要請に応じて、日本政府として600億ドル(約4兆8千億円)の融資支援を行なうことを表明した。同日付各紙夕刊が報じた。

安住財務相は、IMFの最大の出資国である米国が資金増強に反対し、他の加盟国も欧州自身の金融安全網の拡大が不十分として慎重な態度を示している中で、第2位の出資国である日本が率先して拠出することで、他国の呼び水にもなる効果を期待してるという。

IMFは最大5000億ドル規模の資金確保を目指しており、日本の拠出額は1割を超え、加盟国では最大となる見込み。

すでに本誌は昨年11月末時点の1月号で「日本はEU危機すら救う力を持っている」と題する記事を掲載。財務省・日銀が為替介入に投入した十数兆円は「死に金」であり、そのお金はむしろギリシャに貸し付けるべきだ。そうすれば、ギリシャ危機を止めて見せ、日本の国際信用力は一気に高まる、と提言した。

日本政府がユーロ圏向けに多額の出資をしたこと自体は評価できる。ようやく財務省も本誌提言の後追いをしてきたということだろう。

だが、遅きに失した感は否めない。すでにギリシャは「管理デフォルト」となり一段落した。もし昨年末か今年の年初の段階で出資していれば、日本は「欧州の救世主」となり、長くずっと感謝されたことだろう。

絶好のタイミングを外したところに、やはり野田政権の「経済オンチ」ぶりが表れている。(仁)

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