11月のアメリカ大統領選挙に向けた共和党の公認指名争いは、ロムニー前マサチューセッツ州知事が独走体制に入ったことで、今度は他候補の撤退戦略がクローズアップされ始めている。

ロムニー氏は、24日の南部ルイジアナ州での予備選挙には敗れたが、これまでに2位サントラム元上院議員の2倍以上の代理人を獲得している(CNN.com集計)。

形勢をひっくり返すには、今後の予備選挙・党員集会で決まる代理人のうち、サントラム氏は2/3以上、ギングリッチ元下院議長は9割以上を獲得しなければならない。ロムニー氏の独走が強まるにつれて、他候補には撤退の圧力がかかっている。

サントラム氏は地元ペンシルベニア州での予備選挙が控えているが、公認候補有力のロムニー氏批判を続ければ、今後の政治キャリアに傷がつく恐れが指摘されている。

本誌が指摘したように、穏健派ロムニー氏は保守派のサントラム氏を副大統領候補に指名するというシナリオもあり得るため、選挙戦を長引かせて感情的な溝を作らないように、今後両氏が配慮する可能性もある。

3位のギングリッチ氏は南部を基盤に持つにも関わらず、ルイジアナで代理人なしの3位に終わり、選挙戦を続ける意義を疑問視する声が強まっている。しかし本人は撤退せず、今後とも果敢に政策論争を挑んでオバマ氏の路線変更を迫る考えを示している。

実際に、ギングリッチ氏がガソリン価格の高騰で現政権を批判したことで、オバマ大統領は各地での演説で反論せざるを得なくなっており、ギングリッチ氏の強みを生かした戦略は一定の効果をあげている。

いよいよ今秋の大統領選は、社会主義のオバマ氏か、ウォール街式拝金主義のロムニー氏かの究極の選択となる公算が高まってきた。民主主義がつねに最良の統治者を選び出すとは限らないことを、皮肉にも民主主義の本場・アメリカの選挙が明らかにしつつある。

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