17日、東京地裁で小沢一郎氏の政治資金規正法違反事件の公判があり、裁判長が元秘書の供述調書を却下、検察側が虚偽の調書を作り、違法、不当であると厳しく批判した。
検察の強引な捜査が明らかになり、小沢氏の有罪立証の大きな柱がなくなったと言える。
裁判長は、小沢氏の元秘書、石川知裕衆院議員への検察側の取り調べに対し、「強力な威迫や利益誘導で虚偽供述に導く危険性の高い違法な取り調べ」と指摘、「複数の検察官が組織的に石川被告に圧力をかけていたことが疑われる」と厳しく批判した。
この小沢氏の政治資金疑惑は、元秘書ら3人を逮捕、有罪とし、小沢氏本人も検察の取り調べを受けたが「嫌疑不十分」として不起訴となった。
ところが、検察審査会が2度にわたって「不起訴不当」と議決したため、強制起訴となり、小沢氏は被告人となったため、民主党から党員資格停止処分を受けた。
だが、この事件と裁判の経緯を見ると、小沢氏が「狙い撃ち」されてきたことがよく分かる。
裁判所が断じた通り、検察側の強引な捜査は、何が何でも小沢氏を被告人にしたいがための「組織的な」捜査だった。
さらに「検察審査会」は、一般市民による「この事件は不起訴でいいのか」という意見を集約して「不起訴不当」というわけだが、果たして一般市民に専門的な判断ができるのか。
これは「裁判員裁判」と同じく、プロの仕事を市民にさせて、責任の所在を分からなくさせるシステムだ。小沢氏が「人民裁判だ」と言っていたのも当然だと言える。
その市民の判断のもとは、検察とマスコミがつくった「心証クロ」であり、世論の空気に流されるのは明らかだ。
ともあれ、"剛腕″小沢一郎氏がこれで息を吹き返せば、野田首相にとって大きな脅威になることは間違いない。財務省の操り人形となって「社会保障と税の一体改革」という大増税路線を突き進む野田政権に対して、その剛腕でストップをかけてほしいものだ。(仁)
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