橋下徹・大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会」の次期衆院選の公約が、さらに明らかになってきた。

外交政策について日米同盟の基軸の方針を盛り込むことや、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加も、橋下氏は明らかにしている。政治改革では、首相公選制の導入や参院の廃止、首長と国会議員の兼職の容認なども盛り込む方向だ。

社会保障については、年金を現在の賦課方式から積み立て方式に転換することや、高所得の高齢者には年金を支給せず、掛け捨てとすることを訴えている。橋下氏は現在の年金の賦課方式を「現役世代に負担を負わせるネズミ講方式」と認識。そのうえで、「この方式はどこかで破綻するということを考えないといけない。だから、積み立て方式に変えるのは原理原則、当たり前の話」と1月の年頭記者会見で述べている。

ちなみにこれらのほとんどの政策は、幸福実現党が2009年の衆院選、2010年の参院選などで訴えている政策だ。「参院廃止」や「首相公選制」、20~30代向けの「積み立て方式の年金」導入などをうたってきた。現在の公的年金については「ネズミ講であり、すでに破綻している」と指摘している。

大阪維新の会が今後、どれだけ幸福実現党の政策を取り入れるかが注目だ。もしパクッているならば、幸福実現党にひと言あってしかるべきだろう。

一方で、道州制への移行、地方交付税の廃止、脱原発などについては、幸福実現党とは異なる立場だ。中国などの軍事的危機が強まる中で、道州制も脱原発もリスクを高めることになる。橋下氏が主張する新たな資産課税も、幸福実現党の政策とは反対の方向性だ。橋下氏は、「民間で金が回る世の中にしたい」として、預貯金や土地・建物など資産に対して新たな課税をすべきだとしている。

確かに、お金をためているだけで消費しないということが不景気の一つの要因になっているわけだが、だからといって資産課税を積極的に進めるのは、「私有財産の否定」の考え方が実は橋下氏には強いのではないか。むしろ減税が必要で、例えば、贈与税を廃止すれば、豊かな高齢者が子供や孫たちのために住宅などを購入し始める。相続税も廃止すれば、家や土地が相続しやすくなり、家族のつながりが強まって、一つの福祉政策になる。

橋下市長には、幸福実現党の政策を表面的に見るのではなく、その根底の自由と繁栄の精神を理解してもらいたいところだ。(織)

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2012年1月30日付本欄 地域政党が安全保障を担えるのか? 橋下「大阪維新の会」が次期衆院選で200議席獲得目指す

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