東京都の石原慎太郎知事が、次期衆院選に向けて「石原新党」の結成に意欲をにじませている。
3日、国会内で行われた、たちあがれ日本の全国拡大支部長会議に出席した石原氏は「東京でやることはやったので、皆さんに命を預けるから一緒にやろう」と発言。新党の旗揚げと国政への転身を示唆した。
この石原新党には、平沼赳夫氏率いるたちあがれ日本、亀井静香氏の国民新党の合流が有力。3日付産経新聞によると、同党の基本政策の草案は以下の通りである。
- 憲法:9条改正による国軍保持、国会一院制と大選挙区制導入、改正手続きを定めた96条の改正
- 外交・防衛:日米同盟の深化、防衛産業の育成、「南西防衛戦略」推進、核保有に関するシミュレーション
- 経済・財政政策:100兆円規模の政府紙幣発行、国の財政の複式簿記化
- エネルギー政策:2040年までの原子力エネルギーゼロ。その他、国家公務員3分の1削減やフラット税制などが盛り込まれる。
9条改正や日米同盟の深化、政府紙幣の発行など評価できる政策は多いが、石原新党が次期衆院選の台風の目となるには、「大阪維新の会」の橋下徹・大阪市長や大村秀章・愛知県知事らとの連携が欠かせない。
だが、キーマンの橋下氏は脱原発や地域主権の推進を訴えており、石原氏が橋下氏と組むには、歩調を合わせることが必要になるだろう。だが、本欄でも指摘してきたように、中国・北朝鮮の脅威が迫る中で、地域主権や脱原発を進めれば、国家の安全保障上のリスクが拡大する。
石原、橋下両氏の連携に注目が集まるが、今後、有権者には、各陣営の政策の延長上に、どのような日本の姿が描かれるかを正しく見抜く目が必要となる。(浦)
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