ここのところ主要な地方選挙で「脱原発」の候補の当選が目立っているほか、脱原発が争点になるケースも多く、日本のエネルギー政策を左右しかねない動きとなっている。

2月5日投開票の京都市長選は、4年前の前回選挙と同一の候補者で、自民、民主、公明、みんなの党などから推薦を得ている現職の門川大作氏と、共産党から推薦を得ている新人の中村和雄氏の一騎打ちで、「非共産」対「共産」の構図。

前回選挙では900票余りの差で門川氏が辛勝したが、今回は原子力発電への逆風が吹く中で、「全原発の10年以内の廃止」を掲げる中村氏にやや追い風が吹いている。

ただ、門川氏も「脱原発」に舵を切っている。マニフェストには「原発に依存しない社会の実現」を掲げた。また、みんなの党が脱原発に向けて関西電力に株主提案権を行使する大阪市に歩調を合わせることを推薦の条件に挙げたのに対し、門川氏は同意した。みんなの党は「脱原発」で橋下徹・大阪市長と連携しており、首長同士の「脱原発連合」が形勢されつつある。社民党までも、「脱原発で合意できた」として府連レベルで門川氏を推薦している。

しかし、これほど的外れな動きはないだろう。中東ではイランの核開発問題をめぐって、日本の石油輸入の8割が通るホルムズ海峡が封鎖されようという危機にある。現時点では「脱原発」イコール「火力発電に頼る」ということになるので、このままでは原発でも火力発電でも発電できず、日本の産業を壊滅させることになる。単に、有権者の受けがいいからというムードで「脱原発」を掲げるのは、そろそろ終わりにしてもらいたい。(淳)

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2012年1月12日付本欄 橋下大阪市長が火力発電所を視察 イラン危機で「脱原発」は的外れ

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