欧州連合(EU)加盟27カ国が4日までに、核兵器開発継続の疑惑が深まっているイランに対し、同国産の原油の輸入を禁止して経済制裁を強化することで原則合意したことを受けて、日米欧で原油先物相場が上昇している。
イランは、昨年暮れにミサイル発射実験を含む演習を開始し、ホルムズ海峡を封鎖する可能性をほのめかすと共に、ペルシャ湾に展開している米海軍第5艦隊の空母「ジョン・C・ステニス」に対し、同湾へ戻らないよう警告するなど、米欧の経済制裁に報復する姿勢を強めている。
もし、海上輸送される原油の3分の1以上が通過しているといわれる"原油輸送の大動脈"であるホルムズ海峡が封鎖されるようなことになれば、欧州の債務危機などで弱っている世界経済を圧迫する恐れがある。
5日には、イギリスのハモンド国防相が米ワシントンで、ホルムズ海峡の封鎖に対して、軍事的に解除する方針を表明した。イランから原油を多く輸入する日本に対しても同調圧力が強まる恐れもある。
昨年の東日本大震災以降、日本では「脱原発」の動きが加速し、火力発電への依存の割合が増えている。イランからの原油輸入が途絶えれば、日本は極度の電力不足の危機に陥り、日常生活もままならなくなるだろう。
安易な「脱原発」が、日本の国と日本人の生活を危うくすることに、いい加減気がつかなければならない。〈宮〉
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