2011年の国内トップニュースはどこも「東日本大震災」だが、どのマスコミも書かない話として、「トップの心の絵が実現した年」だったと言えるだろう。

菅直人前首相は「最小不幸社会」をスローガンに掲げ極めて左翼的な思想を持ち、2010年は中国漁船の衝突事件に対して隠蔽し、中国に対して卑屈な態度をとり続けた。そのため支持率は急降下し、2011年3月時点では20%にまで落ち込み、交代寸前だった。そういう時期に3月11日の大震災が起き、菅氏は息を吹き返した。

これは、「国のトップが心の中に描いた絵が実現した」と言える。菅氏の思想の中には「貧乏な国民に炊き出しをするのが政治の仕事」という左翼の市民運動家の発想が刻まれている。それが東京・日比谷の「年越し派遣村」のような仕事に表れ、ついには大震災によって大規模に「実現」してしまったのだ。

菅氏の行動を見れば、大震災後はそれまでと打って変わって、水を得た魚のように行動的になった。福島原発の視察に飛んだり、東電に乗り込んで激怒したり、まるで「不幸」を喜び勇んでいるかに見えた。支持率が10%台に落ち込み、民主党内からも内閣不信任をされそうになって、「辞める」と言いながら、「脱原発」を掲げて左翼の喝采を浴びると、まだ居座って満天下に恥をさらした。

一国のトップがどのような思想を持っているかで国全体が左右されるのは、隣の北朝鮮などを見れば一目瞭然だ。だからこそ、国民は選挙でどの党の誰に投票するか、真剣に考えねばならない。2009年衆院選で民主党が圧勝して政権交代が実現した結果、「国難」が次々とやってきたが、それを当初から警告していたのが大川隆法・幸福の科学総裁であり、本誌も幸福実現党も訴え続けてきた。

野田首相に代わってからも、国難は続いている。この人の「心の絵」は、「どじょう」や「三丁目の夕日」の世界だ。「目立たず、貧しく、助け合う」ということだろう。それが「世代間の助け合いとして、増税して社会保障をしよう」というスローガンになっている。

野田首相の「心の絵」が現実化すれば、日本はこの先、社会保障費が高齢化とともに膨大に膨れ上がり、それを税金で穴埋めする「重税国家」になっていくだろう。

やはり、自国の実力をきちんと評価し、繁栄する国家のイメージを描き、それを国民に示せる政治家をトップに抱かなければいけない。それが2012年以降の日本と日本国民の課題だろう。(仁)

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