9日の参議院本会議で、一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長に対する問責決議案が、自民、公明など野党の賛成多数で可決された。

しかし、2閣僚は、「引き続き防衛相としての職責を責任持ってまっとうしたい」(一川氏)、「引き続き職務に全力を挙げて取り組んでいく」(山岡氏)と辞任しない意向を表明。野田佳彦首相も夕方の会見で、「襟を正して職務遂行に全力を挙げてほしい」と述べた。

首相が2人を更迭しない背景はいくつかあるだろうが、その大きなものの一つに、2人が共に民主党の小沢一郎グループに属していることが挙げられる。小沢氏は、反消費増税の署名を集める動きなどを見せて、野田政権を揺さぶっているが、もし2人を更迭すれば、その揺さぶりをさらに強めるだろう。

結局、組閣時に党内融和を優先して、適材適所の人員配置をしなかったことのしっぺ返しを食っている。元を正せば、野田首相自身の責任である。

また、防衛と警察・公安は、国民の生命・財産・安全を守る国家の根幹をなす分野だが、ここで問題が起こっていることは、野田政権の未来を暗示していると言えるだろう。2012年は、日本の周辺国で国のトップが次々と変わる激動の年になるのは間違いないが、危機が訪れたときに、果たして野田政権は国民を守ることができるか。2閣僚だけでなく、野田政権そのものが"更迭"されるべきだ。(格)

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