橋下徹大阪府知事が11月27日投開票の大阪市長選への出馬を表明し、現職の平松邦夫市長との対決に注目が集まっているが、そもそもこの二人の首長としての成果はどういうものなのだろうか。それを知ることで、橋下氏が主張する「大阪都構想」の是非も一つの方向性が見えてくる。

橋下氏による府の改革で目立つものは以下の点だ。

財政面では、08年度予算で1100億円の歳出削減。09年度には普通会計が11年ぶりに黒字化した。

教育面では、2011年度から府内公立高10校を「進学指導特色校」に指定。難関大学の合格者6割増を目指している。この10校については学区制を廃止し、エリート校として育てていこうとしている。

「普天間飛行場の関西国際空港への移設」構想や「クソ教育委員会」発言など華々しく話題を呼ぶわりには、最終的な成果のほうはそう多くはない。

一方の平松氏による市の改革はどうか?

大阪市は職員の待遇が政令指定都市の中で最も良く、前市長時代から職員数の削減に取り組んできたが、05年の約4万7000人余りから10年に約3万9000人に減らしている。ただ、前市長時代からの既定路線の延長線上で、橋下知事のような目立ったものは見えてこない。

この中で「大阪都構想」の是非が問われているわけだが、財政的に一定の成果を挙げている橋下氏の手腕をもって、水道や港湾などの二重行政を解消し、赤字削減につなげていくことはそれなりに現実的な提案だ。

大阪市の財政構造を分かりやすく言えば、大阪市内にある企業から得られる法人税を生活保護など社会保障として分配するため、赤字財政が慢性化しているという状態だ。単なるバラマキではなく、大阪市内の都市開発やインフラ整備に重点投資することで、府経済の底上げも一定程度可能になるだろう。

橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」は、市長選の公約に市営地下鉄・バスの民営化や、市立学校の校長・副校長の公募などを打ち出している。

平松氏はまだ公約を発表していないが、実績上は橋下氏が上と言わざるを得ない。(織)