21日のニューヨーク外国為替市場で、ドルが売られ円相場が急騰し、一時1ドル=75円78銭をつけた。8月19日につけた75円95銭の戦後最高値を2カ月ぶりに更新。円が最高値を更新したのは今年3回目となった。

今回の円相場の急騰について、22日付の新聞各紙は「欧米経済の先行きが見えず、日本の円資産に投資のお金を避難させようという動きが強まっている」(朝日)、「欧州債務問題が大詰めを迎えて市場の思惑が交錯し、投機筋の円買い・ドル売りに加え、リスクを回避しようとする資金が円に集中した」(日経)などと分析している。

そして、各紙はこの円高を悲観的に伝えている。「日本の産業をリードする自動車や電機などの製造業にとっては大きなマイナスで、雇用や個人消費にも打撃を与える」(読売)、「円高は長引く可能性が高く、日本経済は下押し圧力にさらされることになる」(日経)

急激な円高は市場の混乱を招くが、基本的に円高はトレンドであり、日本はこれからも円高が進むことを前提にした経済をつくる必要があるだろう。

そもそも、日本のGDPに占める輸出の割合は15%程度でもはや「輸出立国」とは言えないし、円高になれば、日本企業が海外から原材料を安く仕入れられるので一定期間で調整が効いてくる。また、たとえば1ドルが100円から50円になれば、日本経済の規模がアメリカ経済の二倍になったことを意味し、日本の経済が大きくなって日米の経済力が接近する。

いつまでも「円高=悪玉」論を唱えるのではなく、円高を強みとした日本の成長戦略を改めて描くときが来ているのである。(格)

参考記事

2011年11月号記事 1ドル50円もあり得る? 円高トレンドは止められない"Newsダイジェスト"

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2944